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KS&MY百題_新月版

2014-07.04 01 【写真】(旧作より)

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【写真】(旧作より) [初出:2007年6月]

 ☆「いっせーのせ!」2週目です。
  今週は金曜の夜から地方へ出かけていて、新作がちょいと間に合わなかったので
  自分でも好きな、古い話を再掲しておきます。
  現在、「古代進と森雪百題」からも読めるのですが、PCの環境が変化したため、
  逆版になっていて、カーソルで選択しないと、おおよそのブラウザではお読みいただけません。
  きれいにしなきゃと思いつつ、読みにくいですね。ですので、こちらに流しておきます。

 ☆本文中に、もう1本の「写真」の話も出てきます。そちらもリンクしておきました。
  これは「三日月小箱百之御題」の1本です。“同じ写真”を扱っています。

 ★新作は、もうちょっとなので、土曜日の夜にUp予定です♪

                  ・・・
Isseno・02【写真】 2014-7.04

14. 【記念写真】

 ここだけの話だが、佐々葉子の義妹・彩香が火星の友人たちに見せたヤマトの写真(→「姉妹・2」)。
葉子が「そんな新聞の切り抜きなんかじゃなくて、欲しいならこれあげるから」と
妹に渡した写真は、加藤家の机の引き出しにもしまわれていたし、また同じ写真は、
ここ、古代家のデスクの引き出しの奥にもしまわれていた。

 「ぱぁぱ、次はどこお片づけするのぉ?」
3歳になる息子は、ともかくイベントなら何でも嬉しいのか、親たちの四苦八苦を構わず、ぱたぱたとはしゃぎまわっては邪魔をする。
なので、少しずつ用事を言いつけては、“お引越しを手伝った”という気分にさせてやらなければならない、という古代夫妻の策により、
「パパの書斎机の片付け」という「重要そうな」役割を与えられて
至極ご満足の守くんなのであった。
 隣の部屋から進パパの声がする。
「もう終わったのか? そうしたらここにある箱持っていって、
パパがさっき“みさき行”って書いたもの、詰めてくれるかい」
「はぁいっ」パタパタと駆け出していく。

 短い休暇。

 これまでの官舎から、少し広い庭付きの家に引っ越ししようということになって、
やっと気に入った土地と場所を見つけ、引っ越すことになってはや3か月。
古代進は航海から帰るたびに少しずつ、地上に居るユキと相談を進め、準備をしてきた。
 あまりこだわりなくお任せっぱなしか、と思ったら、土地の選定には関係部署から
資料を持ち出してくるは、そのうちの何箇所かには自分で訪ねてみてから(ユキも
最終候補地にはもちろん同行したのだったが)チェックするは、家も信頼できる
建築士さん――なんでも生き残った幼馴染の1人がそうだ、ということで、あとで
紹介された――に設計からお願いしてしまうは……と、案外熱心に取り組んだ。

 (進さんて意外――)
ユキはそんな感想を持ったくらいだ。

 それを言うと、
「うん? 自分の大事な“家”――どう住みたいかとか、どう暮らしたいかって考えるのは当然だろう?」
真面目な目をして、そう言う。
「俺はね、家族や、帰ってくる家は大事にしたいんだ。
ユキがいて、守がいるから、宇宙そとへ出ていっても帰ってこようと思ううんだからね」
こっくりと頷いたユキの頬に温かいキスを呉れて。
「そういう、約束だっただろ」
小さな声で囁かれる――そんなの、忘れるわけないじゃない。
でも、それを小さなことから実行していくのって難しいのは、私も知っている。

 数々の戦い。共に死地を渡り、乗り越えてきた2人。
そして、実は火星にも小さな家(マンションの一室だが)を持つことになった。
こちらは別宅――セカンドハウスというわけだが、古代やユキの仕事から考えると
現代(20世紀)の感覚でいう贅沢とは違う。様々な理由があった。
 ともあれ、2か所に荷物を出すこともあり、官舎は引き上げればあとに入る人もいる。
ばたばたと。荷物を分け、午後には運び出してしまわなければならないのだ。

 朝から張り切ったおかげで、だいたい片付いて、あとは書斎の書類と、
火星へ持っていく少量の手荷物を作るくらい、となったところ。

 守は、机の上に置いてあったパパの本から、ぱさぱさっと落ちたものに慌てた。
「あれっ?」
パパ、ぱぱ?
――大事なお写真なんじゃないかなぁ?
 守は慌ててそれを拾うと、掃除も終わってダンボールの横で一服していた父親に駆け寄った。

 「パパ――これ。ご本の間から落ちてきたの…」

 進は守に任せた部屋をちらりとのぞきこんで、その様子に満足し微笑むと、手渡
された古い数葉の写真に目を落とし――手が、止まった。

 午前のすぎようとする時間の光が窓から差し込み、
がらんとした様子を見せた裸の部屋に差し込んでいた。もう太陽も空に高い。
シャトルトラックはコンパクトにまとめられたこの荷物を運んでくれているはずで、
行った先では友人たちが待ち構えていてくれる。ゆっくりと鍵をかけ、長い間暮ら
した場所を振り返り――そしてまた次のステップへ、新しい暮らしを引き継いでい
くのだ。
 進はまた、その写真に目を落とし――守が興味深そうに覗き込むのに、目をやって
頭をぐりぐりと撫でた。

 じっと止まった手と、そして黙ってしまった父を見上げる。

 「ねーパパ。どうしちゃったの――」
 あ、この人知ってるよ。
 加藤さんちの小父ちゃんだよね、南部の小父ちゃんもいる。わー、これ、いつの?
無邪気にそう言う声に、キッチンの整理を終えたユキがやってきた。
 「あなた――進さん? どうしたの」
そうして立ち止まり、後ろから覗き込む。
そしてやっぱり、黙って、ゆっくりとその傍らに座った。



 その写真の中には若い日の命がそのまま閉じ込められているようだった。

 青年というよりはまだ少年らしい、笑顔と輝きのそっくり封じ込められたような写真。
――イスカンダルの旅の、帰路だったか。
「ねー、ママ。どうしたの?」
「記念写真だ」なんて相原がカメラを持ち出して。本当は記録用の記録媒体だった
のを、けっこう流行ったな。昔風のデジタルカメラで。
 島――中央に居て、くりっとした目をしながら俺の方を眺めている。
 南部って最初から大人っぽいような気がしたけど、こうしてみると案外、やっぱ
り若いよな。真田さん。徳川さん--。顔を辿る手が止まった。
相原も太田もガキみてーだし。そして。佐々と、加藤――山本……。

 ポツリ、と涙が手の甲に落ちた。

 「パパ? どうしたの? 加藤のおじちゃんとおばちゃんでしょ、これ」
「守――違うんだよ。この人はね。加藤のおじちゃんのお兄さんだ……」
「進さん…」ユキがやんわりと言葉を次いだ。
「皆――」幸せそうに笑っていた。
苦しい旅だったが――それでも、何かを失う度に、何かをまた得、必死で生きた頃。
 「パパとママ、仲良しだね…」
守の言葉に、ふと目を見合わせた2人であった。
 確かに、島の後ろで横を向いて加藤とふざけているかにみえる自分は、スラリとし
てまだ少女の面影を色濃く残すユキの隣に並んでいた。
 「山本くん、てこんな風に写ってたんだ」
ちょっと膝を曲げてカメラを凝視している、クールな表情は凄絶にハンサムで。
その隣の佐々も、加藤と2人に挟まれて生き生きとしているように見えた。
 「ねーねー、こっちは?」
守がもう1枚を指すと、そこには進もユキも写ってはいなかったが、コスモタイガーの前で
愛機に寄りかかっている3人の姿。
佐々を囲んで、鶴見二郎と、吉岡英だった。2人とも、ガトランティス戦で死んだ。
 「これ、撮ったの山本くんなのよ」ユキが言う。
「葉子が呉れたの――」
もう一枚、コスモ・ゼロに乗り敬礼をする進が加藤三郎と笑っている写真もあった。
これもおそらく山本が撮ったものなのだろう。

 退艦前に艦内で写した婚約式の写真には全員が写っている。中央に2人がいて、
周りをヤマトの仲間たちが囲んでいた。
「……3分の、1か」 進がぼそりとつぶやいた。
「えぇ……でも。生きている人たちも、亡くなられた方も。私たちといつも、いるわ」
「そうだな」


 その時、ぱほー、と外から大きなクラクションの音がした。
「遅くなりましたー、配送センターですっ」
元気な声がして、2人の若者がやってきた。
 「ご苦労様。こちらに積んでありますから、お願いします」
「はいっ」
進と守は顔を見合わせて、その写真をまた本の間に戻した。
 「パパ?」
「――あぁ。大事な写真だから、こうしておこうね」
そのままバッグに移し、手荷物の方へ入れる。
「写真、たくさんないの?」
「うんそうだな…あんまり撮ってないよ、俺たちの頃は」
「僕のはたんとあるのにね?」「あぁそうだな」
 さて、守。行こうか。
新しい家で、新しい生活が始まるんだ――この家も、懐かしいものはいっぱいあるけどな。
 うん、僕も楽しみだよ。今度の家、お庭もあるんでしょ。
 あぁそうだよ。父さんたちが一生懸命選んだ家だから。
守はそこで元気に大きくなるんだぞ。

 手をつないで、支度を済ませ、玄関に立つ。
「ユキ――じゃぁ、先に行ってくれ」
「はい。あとはお願いね――守、行くわよ」
転居先の家で、荷物の搬入にはユキが立ち会わないとわからないから。
トラックに先行して先に移動。
あちらでは、南部や太田夫妻が手伝いに来てくれ待っているはずだ。

 ユキと守が去った官舎いえで。
 ガランとした部屋の中を一通り歩き回ってみた。
もう戻れないと思ったことが何度あっただろう――そして、地球に戻り、自分の暮
らしを考え始めて二つ目の家だった。
これからまた、新しい日々が始まる。
だけど――古代は手元にもう一度目を落とした。
(忘れやしない。――お前たちのことは、どこに行っても。いつまでも)
 写真の中に封じ込められた、辛くも優しい思い出。大切な人々。
その想いを抱いて――俺たちはこれからも生きていく。
見守ってくれ、な。
にっこりと彼は笑って、そしてその戸に鍵をかけた。


――Fin
【A.D.2206年頃、ヤマト後。古代守jr.3歳のお引越し】
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~ Comment ~

NoTitle 

こんにちは、ポトスです。
いっせーのせ!The1stご参加ありがとうございます♪

ヤマトという物語を総括したような、じんわりと心に沁みる話でした。
「青い地球」に象徴される「待つ者」と「ヤマト」に象徴される「行く者」が織りなす物語を背景にしつつ、「生きている者」はみな幸せになって欲しい、そういう願いを感じます。

膨大な数の新月物語群からこうしてピックアップして、再読できるのは楽しみです。
ありがとうございました!
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