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Original 新月world

2014-07.25 05 【綿菓子】

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isseno・05 【綿菓子】_2014-7.25

◆お読みになる前に◆

新月original・world 「パラレルE」の唯一のシリーズです。
基本的には、本編改変はしない、と作ってきた新月worldの
例外として「島・生還編」である「パラレルA」が存在しています。
パラレルAは限りなく新月オリジナルの物語(=ヤマトとは遠い)ですが、
それとは別に、自分で決めた“掟破り”をしたのが「パラレルE=テレサ生還編」です。

もともとは、「第三艦橋」さんへのプレゼントで書いた単発のもので
それは現在も、そちら様にあります。
残念ながら、一時的にお読みになれませんので、どっかに再掲のご相談しようかとは思っているもので、
つまり、生還の“発端”は読めませんが、今回の発案者であるERIさんによる“強力なリクエスト”
で、「pre新婚編」というのを、月ごとに1本ずつ書いていっています
(超・気まぐれアップですので、いつ続くか不明の読み切りシリーズ)。

生還したのが1月/3月。2月、3月、4月、5月、6月ときて、今回は夏=8月です。

……ということで、この関連をお読みになりたい方は、「新月の館」blogより「島&テレサindex paraE」 をお読みください。

 では、そんなんでもよい、という方は、どうぞ。
 ※なお、文中の島大介の人称代名詞が「島」だったり「大介」だったりするのはある程度意図的なものです。また、ある程度は、時間がなかったから、で、それもご了承いただけましたら幸いです。
 ※また、「加藤のカノジョ」については、ご想像にお任せいたします。


【綿菓子~小さな幸せ】

  「なつ、祭り、ですか?」
相手は、きょとんとした顔で、ゆっくりと問い返した。

 何か新しい言葉を聞いた時の、彼女の反応にはもう慣れたが、
それがいちいち新鮮で、かわいらしく、愛(いと)しい。
もうそんなに“守ってあげたい”だけの存在ではないはずだ。
宇宙へ戻ってふた月。惑星間航路の運航で地球(いえ)を留守にする期間も、
航路部へ戻ってからは1週間~10日単位になった。
 まだ“遠方”は勘弁してもらっている。元の所属艦は現在、艦長は交代したまま、
その艦長本人も退職直前の名誉職のような人だから、艦隊ごと「戻って来てくれ」
コールが始まって久しい。それは彼だとて宇宙の男であり、1艦を預けられた身であるから、
自分の(元の)艦は愛しかったが、それ以上に、護らなければならない女性(ひと)が居、
その未来(さき)を作り上げることへの基礎を築く時間が必要だった。

 島大介――元地球防衛軍第8輸送艦艦長兼操艦長、特一等航海士。
そしてさらには、元第13独立艦隊・宇宙戦艦ヤマト航海班長でもある。
現在乗艦しているのは第8艦隊の分隊で、火星から木星までを周遊するパイプラインの枝線だった。
 彼の連れ合い――名をテレサという彼女は、地球人ではない。
様々な経緯はあったが、現在は地球の東京メガロポリス、防衛軍基地の
官舎のひと隅に、共に、静かに暮らしている。


 大介は働き者ではあるが、休みはきっちりと取る主義だ。
その点、親友・古代進とはだいぶん違う。仕事の性質上、ということもあるが、無茶な働き方をしない、という意味でも“運行”という職務は自分に合っているという気もする彼である。

 ということで、3日ほどだが“夏休み”が取れた。
 救助され再会したテレサのために、宇宙から何か月も離れた大介だっただけに、
いきなりの長期休暇は考えるだけでも無理だったし、自身もそこまで我儘を通すつもりはない。
だがせっかくの“地球の夏”だ。四季のよみがえった地上の、
テレザートには無かった様々なものを、味あわせてやりたい……できれば一緒に。
そう思っている彼である。それは、14歳で訓練学校に入ってから--いやもっと昔、
地上にあの悪魔の塊が降って以来、島自身も忘れていたことだ。

 (取り戻していきたい――テレサと一緒に)
 彼女の新鮮な好奇心と、柔らかな精神(こころ)。それに癒されつつ、
日常の中に新しいものを発見していく喜びを、大介は味わっている。
 実家に戻り、お盆を一日過ごしたいと思っている。三度の大戦その他で失われた命を想い、
購うのが現代(いま)の一般的な行事である。神道も仏教もキリスト教も、あまり関係なくなった。
テレサと実家の両親とはまだつかず離れずだが、これも良い機会かもと思う大介である。
(きちんと話をしなければ――)
そう考えているが、それならば何か「落としどころ」が必要なのは当然だ。
 古代進ではないが、
「早く結婚しろよ」ということになるのだろうか。
ここに至っても、まだ踏ん切りがついていない大介である。
一生を共に過ごし、暮らしていく。そのことに抵抗も疑問もないというのに。
(何故だろう――)それも考えてみたいとも思う。


 2人は明かりの灯った神社の敷石を歩いている。かなりの人混みだが、歩きにくいというほどではない。
前には加藤三郎、後ろに古代進と森雪。偶然にも一緒に休みが取れて(古代はこのあと宇宙へトンボ返りだったが)、「夏祭りぃ!? 俺も俺も、行く行く行く!」と言って付いてきた。
「それはいいけどさ、ユキを誘ってやれよ」と言わないといけなかった、というのはオマケだ。

 加藤三郎から
「夏祭りが復活するんで、賑やかしに来ないか。面白いぜ」と誘われたのを機に、
“東京の下町”の雰囲気を味わいに出かけてきた。
小さな祭りだが、商店街が中心になっていて神輿(みこし)なども出るらしい。
 「加藤、お前、神輿かつがないのか」古代が言うと
「お? 神楽があるからな。太鼓叩く」と少し自慢そうに言った。
「へぇ」と古代。
「加藤は今日は、カノジョは?」と島が問えば、
「ん? ま、あっちも忙しいからよ」と顔をぷいと横向けた。
「あ、照れてるのか?」と空気の読めない古代がツッコめば、
「ば、ばか。……それに、別にカノジョじゃねーし」とさらに墓穴。
 そんなわけないだろう、というのは古代と島の頭に同時に浮かんだセリフで
思わず顔を見合わせてしまったが、加藤がそう言うのだったら“告白して恋人同士”
というセンには至っていないのかもしれない。--どう見ても
両想いなのだが。平和だよな、と思う島である。

 石畳を歩き、小さな社の角を曲がると、目の前に参道が続いていた。
広くはない道だが、両側に灯篭が灯っていて、なかなか素敵な雰囲気だ。
 「どうだ? いいだろ」加藤は嬉しそうに目を細めてそれを眺める。
“せっかくだから”とユキが言って、テレサも浴衣姿だ。金の髪が紺の生地に映えて、
隣を見るたびに二度惚れしそうになるが、すれ違う人たちが皆、
振り返っていくのだから気にせず歩いていくしかない。
 5人のうち誰に見惚れて振り返るのかはわからない。
古代も加藤も和装で、加藤はわかるが古代に和装が似合うのが意外な気がした。
島も和服は着ないではなかったが、ラフな姿は苦手である。
和装ならきっちりと締めないと気が済まないし、それは暑いから洋装である。
 (それに、何かあった時、とっさに動けないしな)
 と考えてしまうのは職業病。恐らく古代も加藤も本能の男なので、浴衣だろうと平気だろうと思うのだ。

 「あ、綿あめ!」
と雪が声を出し指差す先の屋台の一角に店が出ていた。
「綿あめって?」テレサが問い、
「とても甘くてふわふわしたお菓子のことだよ」と島が答える。
「へぇ? こんなもの今、食べられるとは思わなかったなぁ」と古代の明るい声。
「行くか?」
金魚すくいなどを眺めたり、お面屋をひやかしていた加藤がそう言って、一同は綿菓子の店へ近づいた。
 「へい、いらっしゃい! ……こりゃまた美女とイイ男のおに~さんがただね。綿菓子っすね? いくつ?」
顔を見合わせて、1個ずつ欲しくなり、5つ頼んだ。
 まだ若い店のお兄さんが、くるくると串に飴を巻いていくのを、テレサが興味深げに見つめている。それを大介は微笑ましく見守っていた。微かな明かりが彼女の瞳や金の髪をきらめかせて、とてもきれいだ――と。

 「へい、お嬢さん、1つ上がり。……お代はこれね? ん? 2人分。あ、おにーさんの彼女すか? へぇ物凄い美人さんだねぇ」
まっすぐテレサを見た屋台のお兄さんが、綿菓子を渡そうとし、口をぽかんとあけてテレサを見上げると、彼女は無表情にも見える頬を少し染めて、「そんな…」と笑った。嬉しそうなのは、綿菓子を手にしてることと、島がいて、仲間がいて。そして屋台の雰囲気と……だからなのかもしれない。
「ありがとう」島が言って代金を渡し、「彼女を褒めてくれたお礼だから、お釣りはいらないよ」と言う。たかだか小銭程度のことだが、つくづく男は莫迦だなと思う島である。
 島も自分の分を受け取り、2人で場所を古代たちに譲って綿菓子を眺めた。

 「なんだか、お陽さまみたいなお菓子ですわね。……本当に、食べられるんですの?」
「あぁ、食えるよ。しかも甘くて旨い」
島がまずかじりついてみせると、テレサも真似して上品にお口を開ける。
「あ、おい……」“おいしい”と言おうと思ったのだろうが、そのまま言葉が止まってしまった。ふわりと風が吹いて、髪が綿菓子に付いてしまったのだ。
 「あ、じっとして。動くとますます絡まるから」
触るとそこから溶けてしまう、泡みたいなお菓子。
触感もそうで、口の中に溶けてお砂糖になり、そして……。
「汚れなかったかな? 大丈夫?」
ハンカチで髪を拭いてくれながら大介が言う。こくりとうなずくテレサ。

   >>挿絵<< 某E様画(勝手にリンク♪)

 全員が綿菓子を手に入れて、再び境内を今度は参道を逸れて街の方へ歩き出した。島たちが一番後ろに並ぶ。加藤はあっという間に食べてしまって、左右の店をきょろきょろしているし、古代と雪は、1本を仲良く分け合って食べている(どうやら最初の1本は食べてしまったらしい)。
 「このお菓子、不思議です」とテレサが言った。
「どんなところが?」
「……ふわりとしていて、本当に綿みたいですけど、どちらかというと雲のようで」
--テレサのこういう感想を聞くのが、大介は楽しくて仕方がない。新鮮な感覚であることもそうだが、彼女の心根が伝わってくるからだった。愛しくて、人前もかかわらず、抱きしめてキスしたくなることすらある。自分は今、どんな顔をしているのだろうと思うことも。
「雲、かぁ――雲って食べられるのかなぁ」
首を少しかしげたテレサ。
「――理論的には可能ですけれども……」
そこでいきなり科学的思考に陥ってしまうのは、5人が共通した癖だ。
「水と氷だからなぁ」「そうですわね」
 でも、とテレサはくすりと笑った。
その様子をまた、愛しいなと思う大介。
「綿菓子って、何か。それだけではない“幸福の味”がしますわ」
「……」
テレサ――あたりはあまり明るくない。素早く肩を抱き寄せ、頬にちゅ、とキスした大介だった。
 幸福、幸福--か。


 大介さんと一緒にいること。
 古代さんや雪さんや加藤さんと、生きて、こうして一緒にいられること。
私を大切にしてくれる皆さん。
地球の、こういった場所で、生きている人たち。
さっき私に話しかけてくれた綿菓子屋のお兄さん。
 毎日、朝、目覚めてご飯を食べて、話をして、大介さんの帰りを待つこと--。
 そうして夏が暑く、雨が降ったり、こうしてお散歩できること。

 そんな小さなことの積み重ねが、綿菓子の味そのもののような気がして。
 テレサはもう一度、にっこりと幸せそうに笑った。

【End】2014-7.25

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~ Comment ~

好きな人と一緒にいられること、それこそが幸せですね♪ 

素敵なお話をありがとうございます!
この物語の島くん、好きです…♪

「彼女を褒めてくれたお礼だから、お釣りはいらないよ」とする島。
小銭程度のことだけど、そんなところに幸せを感じるのもまた男です…

金の髪が紺の生地に映えて…すっと、自然にテレサの浴衣姿が目に浮かびました♪
そして、その髪に綿飴がくっついて、じっとしてと告げ、ハンカチで髪を拭く島&こくりとうなずくテレサ。
生存が確認されてから数か月でしょうか?
その時点でのふたりの距離が推し量れる感じがします。
古代とユキだったらどうだろう…と一瞬比較したくもなりますが(笑)、ここは島の洗練された優しさが上手く表現されているなと、嬉しくなるシーンです…♪

島大介って、やはり知的な感じを自然に醸し出している時が一番絵になるなと個人的には思いますが、そんな彼に洗練された優しさを見出せたテレサがきっと惚れたのでしょうね…♪

航海班は本能で動くわけにはいかない…洋装をセレクトする彼に違和感を感じるとおっしゃる方も、もしかするといるかも知れませんが、多分テレサはそんな島を、彼だけを見つめている気がしてなりません。

全てを計算する必要はないでしょうが、テンポよく先を読む力は誰にでも与えられし能力ではないかと…
天然であるところのテレサが誰よりも島を理解している。

直感的に、何故彼女が島大介をパートナーに選んだのかが理解できる…そんな彼女の想いと島の魅力が作品を通して感じられる点、とても素敵です…♪
ありがとうございました。

ありがとうございます! 

>>s-ドクター
いつもありがとうございます。
しかも、深読みしていただいて、うふふ、な感じです♪
このシリーズの島くんは、ちょっとおっちょこちょいですが、熱くて、心配性で、優しくて、でも大人です。テレサが大好きで、ちょっぴり不安でもあるかな。

お礼コメントはまた、【あちらのblog】に改めますね。
ご訪問ありがとうございました。
管理者のみ表示。 | 非公開コメン卜投稿可能です。

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