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◇ヤマト2199

2014-11.21 08 【くちびる】

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isseno・08 (2nd season 2週目)

【くちびる】

 「ゆ、ゆき……ゆきっ! ゆき~~!!」

 やっと手の中にしたと思った想い。
 ゆっくりと育ち、だが確実に。
 互いの気持ちをまだ口に出したことはなかったかもしれない。だが2人の間にあったものは確実で、地球に戻ったら、いやこの帰路の間にでも、告げて、約束しよう。そう思っていたはずだったのに--。

 占拠された艦(ふね)の中に2人戻ってきた。危機に陥った彼女を抱きしめた時、最初に読んだその名。
 艦内で不祥事が起こり、僕らが星に打ち捨てられそうになった時――危機を脱して戻った時に、最初に駆け寄り、抱きついてきた。温かな体。
 任務(しごと)の合間を見つけては、格納庫で、通路で、そして食堂で。話かけてくれるようになり……どちらかが相手を見つけた時の―― 一瞬の表情に、いつもいつもドキりとして。その少し悪戯っぽい目、時折はっとするほどキレイな笑顔を向けてくれるのが、どれだけ日々の励みになったか。
 そしてガミラスに君が拉致され――その間の、気が狂いそうな日々。
 それを追ったガミラスでの、バラレスへの、ゼロの力強い轟き――。
 絶望の直後に、宇宙空間に君を見つけた時の喜びも……。

 何故、君なんだ。
 どうして君でなければいけなかったのか、今の僕にはわからない。
保存カプセルを開け、今はもう力を失ってしまった、冷たい体を抱く。
……もっと早くこうしておけばよかった、だけど。この戦いの時空の中、一瞬先は闇(やみ)――戦闘班に所属し、戦いの艦(ふね)の中にいる自分が、そんなことも理解(わか)っていなかったのだと、今更ながらに。……今更ながらに識(し)ったところで、何になろう?

 いつも生き生きと、憎まれ口を利いていた、この唇。
 時折は優しい言葉を吐いて、どきりとさせた、形の良い、唇。


 古代進はグローブを外すと、そっと、それに触れた。
 頬から、二度と開くことのない瞳から、輪郭を撫で、唇にそっと指で触れる。
(――冷たい……君はもう二度と、その唇を開き、僕に語りかけてくれることはなくなったのか?)
 古代の瞳から、大きな涙がしたたり落ち、それは気づかぬうちにその顔の上に落ちた。

 彼は、少し前まで森雪だった存在を掻き抱き、泣き、そして叫んだ。
(君の居ない地球なんて――意味が、ない)
待つ者の無い地球(ふるさと)――幸せに沸く艦内で、ここだけが、この哀しみに溢れた場所だけが、彼の絶望とすべてを包んでくれた。皮肉なことに。


 そのまま幾時が経っただろう。
 突然、目に見えぬ光が当たりを覆い、不思議な力(エネルギー)が湧きあがった。あたりは生気で満ち、古代には見えなかったが、雪がユリーシャから贈られた鉢植えのつぼみが開花していた。
 涙の落ちた雪の頬--それにうっすらと色味が差し、そして。

 瞼がぴくぴくと動き、そして目がしばたいた。
 ゆっくりと目を開けた雪が、きょとんとした顔で古代を見る。いったい、何が起こったかわからない、とでもいうように。
「……古代くん、私、どうしたの?」
 そうして、その唇から。二度と開かないと思っていた唇から、この世で何よりも聞きたいと願っていた声が漏れた。
「ゆき……いや。君は長い夢を見ていたんだ」

 その時、古代も、何が起こったかわからなかった。
 だが、夢でも良かったのだ。それが覚めない夢であれば。自分がその世界の住人になれるのであれば。――雪が動いて、目の前にいる。愛しい、愛しい存在。
 その唇に引き寄せられるように動いた。--そうやって自分の唇で、彼女の言葉を、覆ってしまわずにはいられなかったから。抱きしめる、掻き抱く、そしてその温もりを確かめること--そして一つになる。
 彼は彼女に口づけした――長く、深く。
 そして、顔を離すと笑い合う。この時、古代進は、この世で最も幸せな男だった。もちろん、森雪もそうだったかもしれない。心の中で想い続けて来た存在(ひと)--その彼が目の前に居て。自分を抱き、微笑んでいる。幸せそうに。泣き笑いで。
 (???)
 頭の中はまだはっきりしていなかったが、古代が居て、ここがヤマトで--それで良かった。

 2人の唇は、また再び出会い、少しの間を置いて離れた。
2人を見守る魂が去っていったことを、彼らはまだ知らない。だが生きていく傍らに、互いの存在があると、彼らは確信していた。
 行こう、雪。と古代がうなずく。地球が近づいていた――交代に、また一つの魂が逝ったことすら彼らは知らず、未来へと、艦橋へとその歩みを進め始めた。【Fin】

――2014.11.16 綾乃 「宇宙戦艦ヤマト2199」より
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~ Comment ~

NoTitle 

お待ちしてました、古代くんと雪ちゃん、まっとうラブ。正々堂々。やっぱ、いいですね。唇のお題、出してよかったー❤ ごちそうさまでした!

NoTitle 

ごぶさたしてます。
綾乃さんの2199ver.めずらしいですね!
古代くんファンの私としては嬉しいですが、2199本編には少なからずいろいろ…。

読み終わった後、追憶の航海の「blue」が浮かびました。
ありかとうございました。

NoTitle 

「くちびる」は、奥が深いですね。
キスだけでなく、生きるために呼吸をするため、言葉を語り合うため。
なるほど・・・と、思いました。

オリジナルでも、2199でも、劇場総集編では、ユキちゃんの死んじゃうエピは、カットでしたね。
私としては、蒼水晶の花はカットしてほしくなかったんですが、入りきらないんでしょうね。

綾乃さんのお話を読んで、久しぶりに、2199の最終話を見たくなりました。
2199の古代君は、全然泣かなかったのに、ラストだびたびでしたからね。涙腺決壊の、古代君、かなり好きなんですよ♥

ようこそ(^_^)♪ 

皆さまどうも。

>>瑞喜ちゃん
・・・やっぱこのお題だとLOVE♪を期待されてるんだろうなー、と、工夫もひねりもない、「まんまあの場面」になってしまいましたが、さくらさんおっしゃるように、唇は私にとってまず「言葉を発する器官」だったりするんですよね。そういう話です。

>>sayaさん
お久しぶりです。
そーなんです。なるべくこの「お題」は2199で行きたいんですけどね。
とりあえず、地球に到着してその先の設定が無いので、書きにくいっす。
新作見たあとなら、だいぶん変わるかな。

>>さくらさん
ようこそいらあっしゃいました。
劇場総集編は、とてもよくまとまっていた気がし、私はかなり好きでした。
作品素材は同じでも、「違う作品?」て感じ。
テーマだけブレない、彼らが艦内で生きた1年そのものすら違う感じがします。
でもね。古代くんが雪とまとまっていく様子が、なんだか想像できたんですけどね。考えすぎか脳内補完でしょうきっと(笑)。
お気に召していただいたなら幸いです。

次のお題、難しいですよ~~>S-ドクター
世界の豪雪地帯に7年も居たのに、私しゃスキーはニガテなんですぅ。
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