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◇ヤマト2199

【2199/徴(しるし)】・1

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徴 しるし・1

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 兄がその学校を卒業し、正式に身分を得たことを報告と挨拶に帰宅した時、彼はその姿を見て目を丸くした。
「わぁ〜兄さん、かっこいいね!」
くりっとした目を見開き、尊敬を隠そうともしない弟に、古代守は愛しげな視線を向けながら、「そうか? かっこいいか!?」と微笑んだ。「父さん、母さん、ただいま」と言って。そのまま飛びついてきた弟の頭をくしゃくしゃと手でかき回し、肩を叩いて。「お前も元気そうだな」と言って。

 西暦2193年。謎の敵が地球に遊星爆弾の攻撃を始めた頃、古代一家の長男である古代守は、その家から独立し軍へ入る道を選んだ。明るく闊達な優等生、誰もが一目置く活動的な兄は、10歳離れた弟の進にとって眩しく、慕わしい兄だった。
 どちらかというとおとなしく、母親の後ろに隠れてしまうようなところのあった弟も、けっして暗い子だったわけではない。人に好かれ、可愛がられ、時に出来のよい注目を集める兄と自分を比べて拗ねることがあったとしても、一家は幸せで、また人々に尊敬される家族だったのだ。

 しかしあの日。
 一家の運命は変わった--ある意味で、終わった、といってもよかったかもしれない。
 部隊の配属が決まり、だが自宅へ戻る時間がなかった守は、弟に「遊びに来い、見学もさせてやるぞ」と誘った。両親からの差し入れを持って防衛軍の宿舎を訪ね、しばしの時を過ごした後、帰路の途中で彼は見た。強烈な光と、悪魔の尾を引いて落下する、凶器の岩塊を。それが父を、母を、親戚の皆や幼馴染たちを、打ち砕く様(さま)を。
 彼の故郷は一瞬で蒸発し、形が変わり、人々は気泡または塵と消えた。
 いえばそれは、“運命”の手が、古代進を、地球の守り手の一人として選び、助けたのかもしれなかった。

 そして、兄から何度か誘われていたが頑として首を縦に振らなかった弟は、兄と同じ道……いや、兄以上の修羅の道を歩むこととなる。

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