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◇ヤマト2199

【2199/徴(しるし)】・3

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徴 しるし・
=2=

 古代守は宇宙(うみ)へ出、そして戦い、帰還した。そのたびに仲間を失い、地球と相手との絶望的な力の差異を思い知らされながら。それでも、出来ることを、出来うる限り、と。
 古代兄弟は互いに、それぞれの場でそれぞれの務めを果たしていた。西暦2199年……その年まで。

 火星宙域での作戦に古代守の《ゆきかぜ》が、沖田十三提督と共に出撃した時、古代進は盟友・島大介と共に火星にいた。
「…《ゆきかぜ》が、未帰還?……」
絶句する古代進に、島もその後ろで立ち尽くす。現に追随艦もなく、旗艦ただ一隻の帰還。通路に出て、その壁にもたれ、だん、と拳を打ち付けた彼に島は
「古代……」と言って言葉を無くした。

 艦(ふね)は地球に帰還し、古代たちは改めて次の任務を告げられることになるという。
 沖田提督に詰め寄り、深い絶望を抱えて部屋に戻った進は、その夜、夢を見た。


 逃げ惑う人々を誘導し、硝煙の街を走る兄の姿。あちこちに絶望の炎の柱が立ち、その中を銃を持ち、艦に向けて走っていく。その姿は凛々しく、またいつも通りの優しい兄だった。
『兄さん!』
物陰に居た進が、叫ぼうにも声が出なかった。だが守は気づいて振り向いた。
『進……危ないぞ、こっちへ来るな。早く逃げろ』
そう兄が言った途端に目の前で爆発が起こり、またステルススーツに身を固めた敵がすぐ向こうに迫った。
『兄さん、危ない!』
声にはならず、重い体に焦りが走る。
ズガーン、と銃撃の音がして、兄の顔が恐ろしい勢いで歪んだ。そして、額から赤い血が筋を引く。……白いスカーフ――艇長の着ける白いスカーフが真っ赤に染まっていく。思わず駆け寄ろうとすると、片手を上げて止められる。顔には死相が現れていた。
 [進――生きろ。俺の分まで、お前自身のために、生きろ――]
守の最後の声が聞こえたような気がして、
(兄さん!!)
出ない声を振り絞って、身体で叫んだ――ところで目が覚めた。

(兄さんっ!!)
兄は宇宙に消えたのだ。沖田提督艦の盾になって……。それをどう言おうとは思わない――何故なら、自分も軍人だからだ。私情を捨てろ……だが、とても割り切れるものではなかった。

          ★  ★  ★

 古代進は、はっと起き上がると、ベッドの上で頭を抱えた。
 心臓がどきどきし、冷や汗をかいている。

 一瞬、どこにいるかわからなくなり、身体が緊張した。敵襲か? そんなわけはない。
今いるのは、宇宙戦艦ヤマトの中、眠っていたのは自室の硬いベッドの上だった。

 乗艦前。いや任官する前に、兄の死を聞かされたときに見た夢だった。同じ夢だ。
(何故、今になってこんな夢を……)

(兄さん――)

 ベッドを滑り降り、引き出しの中から赤いスカーフを取り出した。そんなものを見たからかもしれない−−−−この赤は、深く、エンジ色をして、ダークな光の中で見ると血の色にも見えた。人絹の上等なスカーフは、兄から貰ったものだ。人に貰ったものだと言い、守の大切な思い出の品としてハモニカと一緒に持ってきていた。誰に貰い、どんな思い出なのか、進は知らない。
 古代自身が身につけている官品もスカーフは白。白は有色よりも地位が高い。戦術長を拝命した際に色が変わった。いや、ヤマトの乗組員は皆、白かそれに類する色を身に付けている。
(赤なんて、ないはずなのに)
赤は、戦術班の色。血の色、太陽の色。そして、命の色だった。

 じっと手の中のそれを眺めていた古代は、そっと引き出しの中にそれを仕舞い、ハンガーにかかった自分の白いスカーフを見た。
(まだ何も成果を出せていない。白い、何ものにも染まっていない色だ)
これを血に染める日もあるのだろうか。その時、自分の命は、そして大切な人の、地球の命運は、どうなっているのだろう。
 古代は一つ軽いため息をつくと、顔を上げた。
 艦は「灯台」であるバラン星へ向かっている。そこから先、イスカンダルまでの道はまだ見えない。そして…。

 ふと見ると、傍らのデスクのボードに止めたいくつかの写真が目に入った。兄と自分……古代守の優しく凛々しい笑みと、照れたように、だが誇らしげに笑っている自分。
(兄さん……俺は、貴方の後を継げているんだろうか?)
 いつの間にか、彼は知るようになった。戦術長として、この任を担うのは、兄のはずではなかったか、と。それらしいことを聞いたこともあったが、現在の沖田は、古代の仕事ぶりに満足していることを伝えてくる。
(だが、結果を出すのが俺たちの仕事だ……)
解決は誰にも見えない。遥か銀河の彼方にしか、それは無いのだから。
しかも、時との戦いなのだ。
 「兄さん……守兄さん」
古代は声に出して言った。すると、先ほどの映像を振り切るように柔らかな守の声が聞こえるような気がした。
((おやすみ、進。お前は、立派に、この艦(ふね)の舵を取れる。立派な戦術長だ。自分を信じて、進め))
(兄さん……)

 再びベッドに滑り込んだ。
 まだ起床時間までは間がある。
 古代はゆっくりとまた、眠りに入っていった。

2015.1.29-3.30
2015.9.13 fin


【あとがき】
 う〜ん、暗いですね(笑)。
 2199の古代くんというのは、どうも「思索する男」な感じがして、寡黙で、じっと耐えている感じがします。
 最初、この《夢》は、もっとグロくて悪夢でした。まぁこれでも十分コワイですけど。

 コワイ夢、というのは実際、辛いですよね。夜が長く感じられ、明日のミッションのために「休まなければ」と思う焦りと共になって、自分を締め付ける。だからといって眠りに入るのに恐怖感を感じると、辛いです。。。古代進って精神的にとても強い男だと思いますな。いやまぁほんと。
 この話は、「続き」を書く予定です。テーマが変わります。最初、そっちにしようと思っていた内容です。

 以前、作品を書いていた頃は、「シーンだけ」の短編は嫌いでした。なぜなら、書くのが安易だからです。だけど、2199版のパロディをやりはじめてからは、そういうものが多くなりました。理由は書きませんが、はっきりしてます。
 これもまた、そのうちの一つなのだろうなぁと思いつつ、古代兄弟の、「コスモリバース」勝手に展開シーンにつながっていければいいなと思っています。

 それにしても1月に書き始めて、書き終えたのが3月。お話としてなんとかまとめたのが 9月のようです。なんというノロさなんだ〜>自分 その割に内容が暗いは、ワンシーンだは。
 主要人物を主役にした話、というのは書きにくいですね。特に2199は、それぞれがきちんと書き込まれているので、その合間を縫うのはたいへんです。守と進、、、ちょこっと進めてみたいなと思っています。

 ともあれ、2015年もよい年でした(「ヤマト」的にではないですが)。2016年もどうぞよろしくお願いします。
 1行感想や拍手コメントなど、よろしければあちらのblogにでも、いただけたら嬉しいです。ではでは。
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