FC2ブログ

スポンサー広告

スポンサーサイト

 ←ky100-36・1 → ky100-36・3
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。



もくじ  3kaku_s_L.png ♪ 情報・連絡
もくじ  3kaku_s_L.png 【はじめに】
もくじ  3kaku_s_L.png KS&MY百題_新月版
もくじ  3kaku_s_L.png G2005-70 Timeout
もくじ  3kaku_s_L.png G2006:AD2200年代
もくじ  3kaku_s_L.png Yoko Sasa短編
もくじ  3kaku_s_L.png 短編:相原祐子
もくじ  3kaku_s_L.png パラレルA
もくじ  3kaku_s_L.png Original 新月world
もくじ  3kaku_s_L.png ◇ヤマト2199
もくじ  3kaku_s_L.png 未分類
         
ky100-36・1 ←ky100-36・1    → ky100-36・3 ky100-36・3
  • TB(-)|
  • CO(-) 
  • Edit

KS&MY百題_新月版

ky100-36・2

 ←ky100-36・1 → ky100-36・3
古代進&森雪100題, shingetsu版

36.古代くん! ・1/・2/・3/・4
65. 海へ
78. 温泉
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

= 2 =

 日々は平和に続いていくはず、だった。

「え? 守が?」
帰還した途端、ユキの困った表情に迎えられて、古代進はお茶、と差し出しかけた手を止めた。
「えぇ……学校に行きたくないって。――ごめんなさい。今回は短いのだから、あまり心配かけたくなかったんだけど…」
 年が明けてそろそろ節目にかかろうという時期になっていた。
新年度は何故か(この23世紀でも)4月からだったりしたので、古代の艦隊にも若干の人員入れ替えがあり、そのための一時帰還であった。現在、古代の艦隊はガニメデ就航へ戻り、自宅へ戻れる時期は短い。

 「もう、長く行ってないのか?」
ううん、とユキは首を振った。
「ここのところ……1週間になるか、というところ」
「――何故、知らせないんだ? 星間通信でも、基地への伝言でもできるだろ?」
古代は一瞬、感情的になって“らしくない”癇癪を起こしてみせたが、次の瞬間、は、と気づいて眉間の皺を解いた。
「――ごめん。ユキだって忙しいのにな」
ううん、と妻はまた首を振った。
「そういうこと、じゃなくて…」
 微妙なことを通信でいちいち報告するのは気が引ける。
子育て期間中であり、古代が守をこよなく愛している――思った以上に子煩悩でユキの方がびっくりしたほどだ――とはいえ、“宇宙の男”である古代は、星の海へ出てしまえば“便りのないのが良い便り”と思うことにしている……というのが、戦艦勤務の士官を連れ合いに持った者たちの処世術である。
 たまたまユキは防衛軍秘書室、などというところにあり、航路管理も業務の一環で、そのデータも扱う。
だから夫の航行する旅の行く先や、その任務のおおよそまで見当が付く。
本来なら、どこで何をしているかすら、機密の対象となるため、「これから帰る」という連絡を自宅へ入れることもタブーな場合が多いのである。
 そんな“宇宙の出先”へ、家庭のこまごましたことなど通信できるはずもない。
ましてや戦艦乗り。拠点をかすめるタイミングを見計らうのも、ほとんどユキの場合は“職業特権”なのだ。
多くの者たちがそれ無しになんとかしている宇宙時代なのである。

 夕食にも降りてこようとしない息子に、古代は眉間の皺を深くした。
家に戻り、妻と子の顔を見るのを何よりもの喜びとしている古代でもある。
だから、違和感――これであった。
 「原因は?」
ううん、とまたユキは首を振る。
「わかった……俺が話してみよう」
古代は立ち上がり、2階への階段を上っていった。


 「守――守。父さんが帰ったぞ。どうした、『おかえりなさい』は言ってくれないのか」
なるべく普段どおりに声をかけ、部屋の中でごそごそと動く気配があった。
 教育方針もあって完全な個室ではない。その気になれば半分だけのパテーションを超えて中に入ることもできたが、そこは古代である。
「守――父さん、寂しいな。出てこないか」
少し柔らかく声をかけると、かすかに小さな声がした。
 「……お帰りなさい。お迎えに、行きたいけど。だめなの。……なんだか、だめなの」
耳をつけてみると、様子が妙だった。
「守! 入るぞ」
緊急対応(エマージェンシー)であると、古代は判断した。

 わしわしと境目を踏み越えると、守のプライヴァシー・エリアを見……そこに、ベッドの上に膝を抱え、壁に背をつけて蒼い顔をした自分の息子を見つけた。
「父さんっ!」
わし、っとしがみつくように飛び掛られて、それを抱きかかえる古代である。
 どうした? お母さんには言えないことか?
ぱふぱふと背中を大きな手でさすり、撫でてやると少し落ち着いて、古代の膝の間で丸くなった。
――幼い頃はよくこうして古代の膝で遊ぶのが好きだったが、大きくなってからはもうしなくなったと思っていたのに。……何か、不安定になっているのだと古代は思う。
なんとなく、わかるのだった。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


 「名前が、イヤ?」うん、そうなの。と守は言った。いっそ僕。お母さんの名前にしちゃうか、お婿にいっちゃうっていうの、どうだろう? とごく真面目な顔で言った。
「古代君。って誰も彼もがなんだか……怖い。僕、そう呼ばれると気持ちが悪くなるの」
「――もうじきバレンタインだしな」
うわーん、と守は顔を古代の胸に伏せた。「それ、言わないで。そんな日、無くなっちゃえばいいんだっ!」
 おやおや。
 女の子は、守は嫌いかな?
こくりと頷く感じがした。本当か? 意地悪だったり、困らせたりするのかな?
ううん、と腕の中で彼は少し動いた。――そんなこと、ない。ただみんな。言うんだ。
 ぐずぐずと古代の胸に顔を押し付けて、彼はその柔らかな子どもの感触に、本人にはわからないようにこっそりと微笑んだ。大きな手で髪を撫で、背中をぽんぽん、と叩くと、息子は少し落ち着いたようだ。ぐったり、というように古代に体を預け、ぼそりと言った。
「……なんだか、頭の上にぐるぐるする、かんじなの……」
 圧迫感、を感じているのかな。精神的なものだったら、少しまずいかもしれない。
「耳がうわんうわんしたり、声が聞こえたりするのか?」ううん、と守は首を振る。ただちょっと胸のあたりがギュン、となるんだよ、と。朝、頭が重くて、なんだか外に出たくないの。――あれだけ学校や、お友だちの好きな子なのにな。
 う~ん、と古代は考えた。
 これは、学校の先生に相談するか、医者へ連れていった方が良いのかもしれない。……この(少し大人しいが)利発で明るい子が、1週間も不登校だなんて…。
 もう少し楽観していた古代進は、少しリラックスした顔になって自分の膝で丸くなっている息子を見た。


 リンゴーン!
 玄関のベルが鳴った。
「はぁい?」ユキの答える声が聞こえ、セキュリティロックの解除される気配があると、玄関に誰か訪ねてきた様子だった。
 内線のインターホンが鳴り、古代はそれを取り上げた。
 『あなた。学校のお友だちが……』
「ん? ……あぁ、俺が出る」
ありがたい。こちらから訪ねようかと思ったところだった。
 守はまた緊張がよみがえったのか、少し怯えた様子で身体を硬くした。そのままベッドの片隅に貼りつく。
「ちょっと、待っててな、守」
こくりと頷く息子の頭を、古代はもう一度撫でてやった。

 「向山、葵といいます」
ランドセルを背負ったまま、玄関に立っていたのは、3人の少女たちだった。

 古代進が突然現れたので3人ともとても緊張しているのだろう。
先頭にいた美少女といえる葵は、少し紅潮した頬をして、それでも物怖じせずはっきりと古代を見上げた。
「――私たち……わたし。古代守くんが学校に来ないので……それで。あの……」
「心配して来てくれた、というわけかな。ありがとう」
古代進はくつろいだ様子でいたが、人を取り込むような柔らかな笑顔を少女たちに見せて言い、彼女たちはあきらかにホッとした表情になって、だがまだ顔は赤いままでいる。
「そ、それで。古代くん、あの。私たちの所為で来なくなっちゃったんじゃないかって、あの」
「――誰かにそう言われたのかな?」
古代は柔らかく微笑んだまま、少女たちを見返した。
その笑顔にはどぎまぎしたものの、この大人はわかってくれている、という気持ちを起こさせたのだろう。
「私、私の所為じゃないって思いたいんですけど。で、でも、それだけじゃなくって。やっぱり来ないと心配で……クラスも学年も違うんで、図々しいかなとは思ったんですけど。でもやっぱり…」
 いくら気丈でもまだ8歳。理路整然と話したい気持ちと、自分の所為じゃないといいたい気持ちと。真剣に守自身を心配している気持ちもあってまとまらなく、それは古代進という人物と相対していることもあったのかもしれなかった。

 古代は柔らかく微笑むと、
「息子も良い友人を持って幸せです。お嬢さんたち、ともかく玄関先ではなんだから。おあがりください。……守は少し気分が悪くてお会いできるかどうかわからないが。それでもよろしければ」
大人――しかもすこぶるつきの有名人――に、まるで大人に言われるように丁寧に対されて
「えっ」「は、はい」「で、でも…」
3人3様の反応をしたが、一瞬顔を見合わせて、葵がきっと目を上げると。
「はい、お邪魔します。ごめんなさい」と言った。

・・・(3)へ
スポンサーサイト



もくじ  3kaku_s_L.png ♪ 情報・連絡
もくじ  3kaku_s_L.png 【はじめに】
もくじ  3kaku_s_L.png KS&MY百題_新月版
もくじ  3kaku_s_L.png G2005-70 Timeout
もくじ  3kaku_s_L.png G2006:AD2200年代
もくじ  3kaku_s_L.png Yoko Sasa短編
もくじ  3kaku_s_L.png 短編:相原祐子
もくじ  3kaku_s_L.png パラレルA
もくじ  3kaku_s_L.png Original 新月world
もくじ  3kaku_s_L.png ◇ヤマト2199
もくじ  3kaku_s_L.png 未分類
         
ky100-36・1 ←ky100-36・1    → ky100-36・3 ky100-36・3

~ Comment ~

管理者のみ表示。 | 非公開コメン卜投稿可能です。

~ Trackback ~

卜ラックバックURL


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

【ky100-36・1】へ  【 ky100-36・3】へ
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。