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G2005-70 Timeout

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【タイムアウト】(1)(2)(3)

(4)

 「いらっしゃい、祐子ちゃん」

 昼間とは別人のようなユキがエントランスに迎えて、祐子は久しぶりに古代家の門をくぐった。
おっかなびっくり敷居をまたぐ蒲生と、淡々と入ってくる黒崎。
「黒崎さんも。お久しぶりですわね」
頭を下げる黒崎編集長に、祐子の方が驚いた。――編集長とユキさんって知り合いだったの?
 その中庭を囲んだ奥の、(おそらく古代進の部屋だろう)研究室と書斎の並んだ奥の部屋近くに通されて。
 本当に、夕食の膳を囲むことになって、驚いた訪問者たちである。
「仕事の話は後にしましょう」とユキは言って、少々の酒と、料理を。
「軽いものだけですけどね」といろいろ並べていくのを。よくこんな時間があるなと感心して。

 そうして客たちが多少緊張しながらもユキと共に食事を味わっていると、奥から3人の男たちが現れた。
「遅くなってすまん」
「お先にいただいています」と黒崎と祐子が言うのを、「構わんよ」と言って。
 え、と一番驚いたのは祐子だった。……お父さん!
あぁと頷いて、席に座り。そして何よりも。真田の小父様――科学技術省長官が一緒だった。
「久しぶりだな」と編集長に手を上げて。黒崎も目顔で返す。また驚く祐子。
 「ユキの料理は旨いだろう」顔を崩して古代が言い、「まぁ話は食ってからにしよう」
と言ってすでにワインに手をつけている。2人も顔を見合わせる。
久しぶりに会うに違いない。とてもリラックスしているように見えた。

 ジェームズはそわそわと落ち着かない。…内心何を考えているのか、わかる。
写真が撮りたいんだろうなぁ、と。祐子だって似たようなものだった。この3人が揃っているところなど稀有だ。
めったに逢えないはずの人たちなのだから。
 こんなお宝(?)を前にして、のんびり食事をしていられるジャーナリストなどいない。
さくさくと食べてしまうと、箸を置いて、まず黒埼が真田を見た。
 そして、ユキに、ごちそうさま。ありがとうございました、と言う。

 膳を下げ、食後のコーヒーなど出てくるに至って。ユキも含めた4人と、こちらの3人が対峙した。
「よく来てくれました――」と古代が口火を切る。
「…いえ。こちらこそ、お願いを訊いていただきまして」
と編集長が答え、「大変なことになりましたな」と言葉を発する。
 あたりを気にする風の黒崎に真田が少し笑って言った。
「この家はセキュリティが非常にしっかりしててね、盗聴の可能性はごく低いので安心して話せますよ」と言う。
「ごく低いってどのくらいですか」と黒崎が言い、
「2%くらいだ」と、科学者らしい答え。
「その2%の可能性は」
「先ほど排除されましたわ」とユキが言った。
 黒崎がジェームズを皆に紹介した。緊張して頭を下げる先輩。あとは互いに見知った同士だ。


 「正直、戸惑っています」と古代が言う。
「相原が……まぁここではぶっちゃけ話にしますので、取捨選択してくださいよ……黒崎さんを信用してますからね。相原が、その通信を得た時はにわかに信じられなかったんですが」
「ガルマンからの通信でしたか」
「えぇ」と相原義一がそれに答えた。
「だが、間違いはありませんでした。と同時にすぐにイカルスに連絡を取り、半日で事実が確認できましたので」
「それからは情報戦ですよ。近辺にいる艦隊は幸いイカルスでした。東艦長は信頼できる人物ですし、外洋での実戦をよく知っている。なにせ最も遠くまで旅した宇宙戦士の一人ですからな」
「それを言うならここにいる4人はみんなそうだろう」と真田が笑うが。
 「実際の判断は――判断基準を提出してくれたのは東艦長です」
え、とこちらの3人は驚いた。
「私がヤマトで行った時に、藤堂長官がそうであったように、私自身――つまり私と南部と片桐長官ですが――は、それをもとに判断せざるを得ませんでした。ですから彼に委ねたのです」
「その際に、遊撃艦であるレーヴェは?」
「機動部隊として活躍したようです。初期は情報戦でしたから。この相原の愛弟子である通信士の和田篤志と、佐々葉子と加藤四郎の長男・大輔。この2人はずいぶんに働いたようです」
 「聖樹さんもそうなのでしょう」
「えぇ。……息子だからというのではなく。あれは私にも理解できないところがある。能力的には兄以上でしょう。有事の判断力は信頼に値します」
古代が次男坊を表立って褒めるのを初めて聞いた祐子である。どちらかというと守兄の方をかわいがっているのかと思っていたのに……。

 それで、協力していただきたい。
古代が黒崎を見ていった。
「世論を作る必要があるのです」これはユキが引き取って続けた。
「地球は今、一見平和でしょう。宇宙のどこかで起こった戦いにわざわざ首を突っ込むことはない――悲しいかな、今の地球人は多くがこういった考えの持ち主です。
軍隊を派遣すればお金もかかるし人材も必要だ。
宇宙戦士訓練学校の卒業生や、就職先として防衛軍を選んだ人間のうち、毎年必ず派遣されて死ぬ人たちが出る。
……だが戦わなければならない、という必然性がない人の方が多いと思うのです」
少し目を伏せてユキは言った。
「発表でも古代が言ったように、地球に攻撃が加えられないのは、ガルマンとの盟約があるからです。
だがそれもいつまで保つか……任せっぱなしにはできることではない。政治的に考えても派遣は必須だ」
真田も口を挟んだ。
現在、真田長官はガルマン=ガミラスとの間に強いラインを持つ。
 「そしてテレサの願いを――ルダの祈りを。私たちは忘れるわけにはいかない」

 古代進の、深い目。
 3人ともに、それぞれが。懐かしく慕わしく、悲しい目をし、強い目をして、彼らを見返していた。
--そこにはどのような想い、遥か彼方の時の向こうに、どんな想いが宿されているのか、祐子には知る由もない。
「テレサがわれわれに与えてくれた命で生きた、地球だ。
彼女は異星人でした。サーシア、スターシアもそうです。シャルバートの姫だったルダも。
地球は常に、護られてきたのです」
「今もまた。ガルマン帝国が身をもって我々を護ろうとしてくれている。それに対し、我々も安穏としているわけにはいかない。
それをどのように納得させ説得していけるか考えなければならない。
それには、マスコミの力も必要です……と私は考えています」古代進は言った。

 黒崎は腕を組んで考え込んだ。

 難しい、問いだ。人は、目の前をすぎれば、どんな苦しさでも忘れてしまうのだ――ましてやすでに最後の地球の危機から20年近くが過ぎ――それはまた祐子たちの年の分。
「やってみる…しかないでしょうね」
利害を超えて。黒崎は搾り出すようにそう言って、真田を見た。


 様々な情報の交換がなされた。記事に、すぐにはしない、という約束で。
「蒲生」「はい」
「お前、今日ここで話したことは、俺が“思い出して良い”というまで忘れることはできるか」
「は、はい……そりゃ」
「どこかに書き残しても、互いに話してもダメだ。そうでないと」え、と見返して。
「……無事、という保証は、ないわですよねきっと」
と後輩である祐子が言ったが、その時彼女はきっと父親と同じ目をしていたに違いない。
とても穏やかな人たち。これ以上はないというほど優しくて。
だけれど。敵に回したらこれほど恐ろしい人たちもいない。
特に、信頼を――裏切った時などは。
 ジェームズは本気で怯えそうになった。
「だ、大丈夫です――」
「そうか、なら、良し」と黒崎の言を受けて、にっこり笑う古代。

 「祐子」
呼ばれて目を上げる。父ではなく、古代さんに。
「心配しなくても、元気だぞ――」
え、と古代を見返す。
「聖樹から聞いてる――彼からもな」と傍らの父親を指した。頷く父。
 一人要領を得ないのは、蒲生だけで。
 「彼女の、大事な人がな。……レーヴェに乗っているんだ」と解説したのは黒崎だった。
祐子を見やる。同情だけではないものがそこには含まれていた。
それを聞いて、涙が沸いてきそうになった。

 ――声が、聞きたい。

 特別に見せてやろう…といった古代がデータチップを取り出し、はめ込むと壁のひと隅が小さなモニタになり、そこに艦橋の様子が写った。

 ……これが、レーヴェですか。
 あぁ。イカルスのはそのうち発表する。これはあくまで記録だから外に出ることはないが。
今だけ。特別にな。と古代は言った。

 《巡洋艦到達距離まであと1万宇宙km――》

 オペレーターの声がする。

 《艇長――迎撃しますか》

 大輔の、声だった。
《いや。様子を見よう――航海士。今のままのスピードで、右旋廻15度》
《右旋廻15度。よーそろ》


 モニタに爆発の光が映った。

《あちらは始まったようだぞ》
《要請は》
《とりあえず、様子を見ろと》
 《東艦長から入電です――》
《つなげ――》
《艇長、東だ》《はい》
《ユリウス殿下から入電。わが艦隊は、10宇宙時間後、ガルマン軍遊撃隊
第3部隊と合流し、ユリウス殿下の護衛として、帝政連合と端緒を開く》
《了解しました》
《健闘を祈る》
《艦長も――》


 通信はそこで切れていた。
「大丈夫だ。このあと、1戦闘あったようだが、圧勝だったというからな」
「…元気、なんですね」
祐子は息が苦しいような気がして、先ほどのやり取りを聞いていた。
「あぁ。あいつらは大丈夫さ――また、生き残ってもらわなければ困る。地球のためにな」
古代はそう言い、祐子は「はい」と頷いた。
「そのための努力は最大限するつもりだよ、君や、私たちのためだけでなく、ね」

 愛しい者を戦いに送り出さなければならない立場――自分が赴くよりどれだけ辛いだろう。
しかしこの古代進は、若い頃から――18歳の、今の自分よりも若い頃からその立場に立ってきたのだ。
どれだけそうしてきたのだろう。時には、今目の前にいる最愛の女性ですら。
 「祐子…」
目を上げて、古代はじっと彼女を見た。

 「わたるまもるふねも、遠からず投入される……」

 祐子は父を見た。
父の目も厳しくこちらを見ている。初めて見る、顔。父親の――古代艦長さんと同じ立場に立つ者としての。
「君には――私にも。辛い戦いになるな」
兄さん……。

[続く]
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