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bu2009-29 天泣(てんきゅう)

天泣、再生→生還・02

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1 = 訓練学校にて =

 その頃、訓練学校も急襲を受けていた。
 警報が鳴り響き、咄嗟に迎撃態勢を取れたのは、それでもここが防衛軍の訓練学校だったからだ。
教科は終業していた時刻で、残っていたのは教員たちのみ、さらに同じ敷地内にある寮とのリレーションをまず取らなければならず、何人かがそちらへ走り、何人かが防衛軍本部にコールを入れた。
人が右往左往する中、咄嗟に迎撃態勢を取れた者は多くない。

 「中尉、学生たちをっ!」
 いまこの瞬間、最も当てになる現場指揮官として、友納伸義は後輩である古河大地に声をかけていた。
ふだんは“古河教官(せんせい)”と彼も呼んでいる相手だ。だが、緊急の時に指揮権をどうするか。
より上の者に、その責任はあり、学校での地位はどうあれ、彼は現役軍人としては現場指揮官たり得た。

 彼(ふるかわ)はすでに動きと示唆を開始しており、その動きは素早かった。
「寮へ行きます。学生たちに指示をっ!」そう叫んで駆け出す。
「ここは、佐々木主任っ」「りょ、了解っ!」
年配の幾人かは本部への連絡を取り、迎撃態勢のセットアップを。
咄嗟に対応の取れない者の方が多かったが、さすがに伊達に軍に席を置いてはいない、指揮系統が見て取れるとすぐにそれに従った。
 「友納さんっ、寮へ」
「あぁ……何人か、行くぞっ」
完全な武闘戦闘態勢である。
『上級生、戦闘員は第一種戦闘配備にて集合っ。非戦闘員は避難の準備をしてそれに続け。下級生、各チームリーダーの指示にっ』
放送が切り替えられていく中、寮へ続くわずかな間隙を突破して教員たちは学生と合流していた。

 非戦闘員や下級生を逃がすため、グループ化して脱出させた。
一部は早々に行動したが、教員たちの戦闘グループに参じてくる上級生たちがなかなか頼もしい。
 「中へ入れるなっ!! 上から来るのは撃ち落とせっ!!」
中から大型重機を出す時間がなく、上からの正射で相当数の犠牲者が出ていた。
「騎兵、砲術、前へっ。戦闘機科は下級生を守ってX地点へ逃げろっ。戦闘機には乗るな、集中してやられるぞっ」

 すでに格納庫は破壊されており、近づくことはすなわち死か捕虜かを意味した。
寮の中は一角が崩されかけており、バリケードも時間の問題だ。
「まだかっ! 早く、行けっ」
所詮、時間稼ぎである。いくつかある脱出口から外へ。そして訓練学校の方へ。地下都市へ。
緊急時の対応は叩き込まれているはずで、それに迷うような学生はさすがにいなかったが……ただ、ここを切り抜け、生き延びられるかどうかだけが問題だった。

☆  ☆

 放課後のリラックスタイムの何も準備のできていない場を狙われたわりには、学生たちの対応は評価されてもよかっただろう。
だが、運・不運がその先を分けた。
 建物の陰から、取り残された一団を援護しつつ、地下通路入り口までを確保すべく努力したが、それにも限界がある。

 遠く向こうに見える古河が目で「行け」といったのを機に、友納は心を鬼にして振り返った。
……この子たちを、守らなければならない。
すでに非戦闘員や下級生たちは行けるだけ送り出した。
…絶対に地下都市の入り口だけは発見されるわけにはいかない。
場合によっては、切り捨ても必要になる……そうならないためには。ここにいる連中だけでも。
 「行くぞ」
 学生たちが、ホッとしたような顔をした者のも、見捨てるのですかという表情をした者もいた。
中でも一人、リーダーである上級生が…。
「行くんだ。お前はチームリーダーとして、こいつらとともに生き延びる責務がある。僕もそれを守る義務がな……あいつらだって」

 古河たちの一角は最も大勢に囲まれていた。
「中尉っ!」
「来るな、友納っ!! 学生たちを、逃がせ。こちらは大丈夫だ」
彼の声音は冷静で、ややもしてその一角から学生たち数人のチームがこちらへ駆け込んでくるのが見えた。
「バックアップ! あいつらを死なすなっ。敵兵を近づけるな」友納の檄が飛ぶ。
そうしてこちら側の防壁に飛び込んだ者たちを抱え上げ、どんどん後退していくのだ。負傷している者も多く、退却戦は熾烈なことになりそうだった。
(…このままでは共倒れだ…)
「行けっ、友納さんっ。行ける者だけでも、逃げろ」
こんな折だったが、古河の射撃は“古代並み”といわれたのもわかるような見事さで一瞬、見とれた。
だがそれも一瞬。
 「行くぞ……着いて来れる者だけ、命がけで走れっ!」
そう言うと、手近にうずくまっていた学生の肩に手をかけると、
「しっかり、しろ。死にたくなかったら走れ」そう引きずり起こし、後退していった。

 そうして友納たちは退却戦になんとか成功した。

 上空からの攻撃はやむことは無く、そのエネルギー弾の嵐の中を逃げ切れたのは奇跡といえるものだったかもしれない。地の利がこちらにあったとしても、だ。
森の中に秘匿されているX地点に駆け込んだ時には、あたりは闇が覆っていた。
散り散りになって逃げ延びた者もいただろうし、また包囲された別の部隊に捕まったものもいたかもしれない。
だが、訓練学校生・教員合わせて250名、その日外泊などで寮にいなかった者も含め、無事、逃げ延びた者は60名にも満たなかった。
 「友納、先生…」
「先生っ」
うっ、ぐすっ、とすすり上げる声もある。
 それはそうだ。ここまで必死で逃れてきたとはいえ、まだ皆、14〜18歳の少年である。
隣で友が倒れ、教官が犠牲になり、血と怪我と恐怖の中、ただ、いわれるままに走ってきた。
いきなりの実戦がこれでは、いくら訓練学校の生徒とはいえ…。
「静かにしろっ」
 だがここで甘えさせてしまうわけにはいかない。
「これから地下都市へ潜る。ここのことは機密事項だ…心せよ」
「先生……これから、どうなるのですか」
友納は扉を閉じる前に闇の中に輪郭を描く森の木々を目に焼き付かせた。
「わからん……地球はまた、暗い時代に入るのかもしれんな」
だが、俺たちはできることをしなければならない……それが。二度の危機からこの星を守ってきた、俺たちの義務だ。
 「……ヤマトはどこだろう」
 ふと誰かがつぶやいた。扉がゆっくりと閉じ、彼らは闇の中を地下へ下っていた。
「ヤマトはある……あいつらもきっと。どこかで戦っている」
 それだけは確信を持って言える、と彼は学生たちに向かってつぶやいた。かつて自分もその一員だったあの艦(ふね)。

 我、地にありても、その魂、共に宇宙を翔るものであれかし――永遠(とわ)に。

 (古代……島。無事か? 加藤、山本さん。護ってくれ…)

[続く]
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