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bu2009-29 天泣(てんきゅう)

天泣、再生→生還・07

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6 = 脱出・1 =

 早く、早く――どこの地下だかはわからなかったが、地上で無いことだけは理解していた。
地上は占拠されている可能性があったが、一度、森にでも逃げ込んでしまえば勝機はある。
いずれにせよ、場所がわからなければ、改めて緊急時の地下都市に逃げ込むことは不可能だった。

 「あっ」
美貴が岩肌を滑ってその手を大樹が支えた。
「気をつけなよ、ネェさん」
「あ、ありがと…」ついポロと出たところはあながち育ちが悪いわけではないのかもしれない。
「ちぇ。誤解すんなよ、怪我でもされたら遅くなるからさ」
ふい、と顔を逸らして……それでも特に指示したわけでもなかったのに、列のしんがりを護ってくるところなどはさすが予備役といえばいえた。
 大樹の方も、和気をただのパイロットだとは思っていない節があり(そこらへんのことは誤魔化して教えていなかったが……敵が“ヤマト”の情報を求めている以上、危険は冒せなかったから)、だが賢明なことに尋ねて来るわけでもなかった。

 「ここだ――この先は見覚えがある」

 佐竹が急にぼそりとつぶやき、「ちょっと、待ってくれ」
案外に頑丈にどんどん歩く内村医師に比べ、年配の佐竹夫妻は、それでもよくがんばっていたが地下の暗い、険しい道をたどり続けるのはかなり辛かったようだった。
それでも弱音を吐かず、なんとか黙々と歩いていたが、ある場所でとうとう一隊を止めた。
「……休みも必要、なんじゃないか、な」
細い声で二見も言ったが、こちらは自身があまり体力がない。
文句も言わず歩いていたが、かなり疲弊していることは確かだ。
あの牢に捉えられた日数が一番長いこともあって、多少弱っていたのかもしれなかった。
 美貴も頷いたため、和気は大樹と顔を見合わせてその場に腰を下ろした。
 2人で岩の陰からあたりを見回し、ほっとした時である。
(しっ!)
微かな光が前方を横切るのが見えた。
 手で指示をし、敵から奪って逃げてきた明かりを消した(それまでもミニマムに抑えていたのではあるが)。
光が岩陰を舐めるように走査するのに、息を潜め、身を寄せ合ってやり過ごす。
互いの殺した息の音がやけに耳についた。
(あの様子だと、捜索隊が出されている可能性がある――この先は、厳しいぞ)
和気は内心そう思いながらも、(諦める、ものか)と怯えるどころか何かが内側から沸いてくるような思いなのが不思議だった。

 (???――俺、完全に民間人になったと思っていたんだけどな)
 自分自身に対して、くすりと笑う。
緊張してはいた。
敵を目の前にして危機の只中にあり――だが不思議なほど落ち着いていて、皆で逃げ切る、という思いだけが強かった。
 “パイロット”だったとはいえ、和気秋里は、航海士ではなかった。
戦闘機隊員だったのだ。ガミラスと戦い、孤独に耐えて14万8000光年を戦い抜いた男だった。
――意識しないまでも、その矜持が、非常時の彼の今を支えていた。

★  ★

 明かりが消え、気配も消えた。
 だが、すぐに動き出すほど愚かではない。――それ自体がトラップかもしれず、逃げるルートというのはさほどあるわけではないのだ。
 定時哨戒なのか? それとも逃げたことがバレたのか。
 そうして、捕虜が逃げることをどのくらい重視するのか? 逃げたらまた連れてくればよい、その程度のものなのか? それとも捜索隊を出すのか?

 だがしばらく息を潜め、同じ姿勢のまま待つ――他の人には辛かったようだが――ことしばし。
和気は、あたりに十分に誰の気配も無い、と判断した。
 「大樹くん――」「あぁ」
「少し見てきてくれるか」
少年は親指を立てて返事に変えたが、すぐに和気は思いなおし、
「いや、俺が行こう。君はここで皆を護っていてくれ」と言った。
 きょとんとする彼の横をすり抜けて、和気さん…と切なそうに呼びかける美貴の声も聞こえたが、和気の集中力は全開されていた。
(この先、どのみち見つかる。早く道を逸れて、勢力圏から出なければ…)
 地上へ上がることも考えたが、どちらのリスクが大きいかは考えるまでもなかった。

(下へ↓)

7 = 脱出・2 =

 生理時間で時を図ることは、地下都市や戦艦時代に覚えたことである。

 時を図ることは時には最も重要で、生死を分けることすらある。
 牢を抜け出してから、丸一昼夜が過ぎていた。水だけは確保していたが、携帯食料があるわけではなく、そろそろどこかの地下都市のめぼしを立てないと、老人と女性が参ってしまう。
 訓練を受けた軍人(または元軍人)なら、5日くらいは食わずに動ける(飲まずに動けるのは3日が限度だ)が、そろそろ場所の目処も付けたいところだった。
だが。発信機の類はすべてはがされてしまっていた。こちらから彼らに連絡を取る方法は、無い。
また敵の“規模”がわからないため、日下たちに連絡を取るのは彼らをも危険に陥れる可能性があり、できなかった。

 (いったい、ここは。どこだ――)
(食料は、どうすればいいのだ――)
無謀だったかもしれない、と和気は思い、だがあのままあそこで殺されるのを待つよりはよほどマシだと思い直し、親友の鋭い眼差しを思い描いた。
(――伸義ぃ。助けてくれよ、俺だけなら、なんとかなるけど、なぁ……)
とほほ、と思いながらも、気落ちしているわけではないことが、我ながら不思議だった。

★  ★

 休憩地へ戻ると、皆は落ち着きを取り戻していた。
「出発できるか?」
「早くここ、離れましょう、いつ戻ってくるか…」
「そうじゃ。もう動けます、すみません」
口々に、気丈なところを見せる。

 再び歩き始めて少しして、大樹が前へ寄ってきた。
しんがりは内村医師に任せてきたといい、「ちょっと」とひそひそ声を出す。
肩を抱くようにして。
 「なぁ、あんたさ。……正直、此処どこらへんかわかってんのか?」
「……いいや」
わかるわけないだろうの和気である。
――だが、勘といえば勘。元の地上からさほど遠くは無い北、、、ほかの者が持っていない“地下の土地勘”からいえば、もしかして、という思いはあった。
「――やっぱりなぁ。どっか地下都市に紛れ込まないとマズくね?」
「それは、考えてる」
「飯とか休憩所とかもあるし、これから生活もあるでしょ。地上上がったらまずいみたいだぜ、俺が聞いた話だと」
 この子は拷問されながら、情報集めたのか? いい士官になるよまったく。
……無事たどり着いたら伸義に進言してやろうと思ってしまった。
「君はわかるのか、このあたりの地理?」
「地理より地形だよな、あと天井の様子とか・・・覚えがある、ような気がすんだ」
「気のせいかもしれないけど?」
「あぁもちろんな」

 2人で思ったことを言い合ってみたところ……偶然だが。いくつかの一致を見た。
「確かめてみよう」
「そうだな」

 それは、決めた方向へ2kmほど行ってみるということだった。
基地から離れる方向ではなかったが(むしろ若干逆行するようだったので心理的には抵抗があった)、2人の知識が勘違いでなければ、その方向に地下都市の分岐・Hがあるはずだったのだ。緩衝点とでもいうか。
 そうしてそこにそれがあれば……そこから連絡を取ることも、助けを呼ぶこともできる。
 和気たちは岩の断崖からその下に見える暗い空間を眺めながら、慎重に身体を下ろしていった。

 「よし、気をつけろ……足を取られるなよ」
手を貸してやりながら暗い中、疲れた身体で岩場を下るのだ。その先に道があると信じるしかなかった。

 歩き出してから、ふと気づいた、という調子で大樹が言った。
「でもさ--あんた。和気さん。なんでそんなこと、知ってんだ?」
H緩衝点のことだ、とわかったが、聞こえないフリをした。
実際は、一度来ただけだったから不確かだったし――しかも訓練学校時代の行軍演習。
そうして地下都市に防衛軍が移された時に、“地下の版図”として、マップ上で頭に叩き込まれたからに過ぎない。……それも遥か昔の記憶。実際にはまだわずか、4年前のことだった。

(続く)
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