FC2ブログ

スポンサー広告

スポンサーサイト

 ←天泣、再生→生還・08 →天泣、再生→生還・10
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。



もくじ  3kaku_s_L.png ♪ 情報・連絡
もくじ  3kaku_s_L.png 【はじめに】
もくじ  3kaku_s_L.png KS&MY百題_新月版
もくじ  3kaku_s_L.png G2005-70 Timeout
もくじ  3kaku_s_L.png G2006:AD2200年代
もくじ  3kaku_s_L.png Yoko Sasa短編
もくじ  3kaku_s_L.png 短編:相原祐子
もくじ  3kaku_s_L.png パラレルA
もくじ  3kaku_s_L.png Original 新月world
もくじ  3kaku_s_L.png ◇ヤマト2199
もくじ  3kaku_s_L.png 未分類
  • TB(-)|
  • CO(-) 
  • Edit

bu2009-29 天泣(てんきゅう)

天泣、再生→生還・09

 ←天泣、再生→生還・08 →天泣、再生→生還・10
9 = 再会 =

 友納、日下、野崎らは、慎重にその拠点Hへ近づいていった。

 「気をつけろ……周辺に、何か、気配がないか?」
「……大丈夫です。ありません」
暗視スコープで周辺を警戒していた若者が言う。
これまでの例でも、地下都市に戦闘が持ち込まれたケースは無かった。
理由はわからないが、敵は地下は苦手のようだった。戦闘は地上に限られ、地球人側は、地下からいくつかの経路を掘って、敵の様々な場所に近づこうと計画していた。
 だがトンネルは逆に敵を呼び込むことにもなりかねない。慎重の上にも慎重を重ねている最中だった。

 よし。
 友納の手招きに従って近づく。
その時、ちらりと影がその建物に映った。その瞬間、相手を視認した。

 彼は皆に、「注意してついてこいっ」と鋭く叫ぶと、その建物に駆け寄った。

 「秋里っ! 和気!! 無事だったのか。僕だ、友納だよ」

 その声を聴きつけたか、全身が現れた。
「伸義っ! 本当にお前なのか? ま、まさか。嘘みたいだっ」
2人は抱き合うように飛びつくと、すぐに後ろから数人が姿を現した。
 「和気さん、助かったの?」
きょとんとした目で見上げる若い女性、そうして幼いほど若いが不敵な面構えの少年がそれに続き、年配のご夫妻と、壮年、青年が一人ずつ。よれよれ、といった風情で姿を現した。
「もう大丈夫です――我々は地球防衛軍のパルチザン部隊、私がリーダーの友納、安全なところへご案内します」
「やれやれ……」
「助かったぁ…」
わぁん、と泣き出しそうな美貴に、大機が
「大声出すなよ、まだ危ねぇことには違いねーんだから」と憎まれ口を利く。
その通りだ、と友納が頷くうち、和気はその後ろを見て目を丸くしていた。
 「ま、まさか……日下に志麻さん……マジっすか?」
えぇ、と笑って見せる志麻と、ばっかやろう、と泣きそうになる日下。
まったく、大した仲間だぜ、と和気は傷の痛みも疲れも忘れて笑った。

 「すぐに動けるか?」
友納の問いに、和気は頷いた。
拠点Hには最低限の保存食料と水があり、一同は一応、元気を取り戻していた。
「丸半日、救援信号を続けてたから、長く居るのは危険だ。そろそろ動かなくてはと思ってたとこだったんだ…」
なるほど、地図を精査しようとした後と、移動に必要な荷物がまとめてある。
 友納は頷き、一同はそこを出た。
 岩の干渉地帯のようになっている其処は、周辺になだらかな下り坂、いくつかの岩壁が視界をふさいでいた。天井高は高く、いくつかの道がこの先選べるようなのだった。
「--ここはほとんどまだ地表に近いんだ。敵がウロついている可能性がある」
あぁ、と和気は頷き、答えた。
「此処に来る途中で二度ほど、哨戒の兵らしいのと出くわした。俺たちが逃げたことはもうとっくに知られてるだろうからな。追撃がないのが不思議なくらいだ」
「あんまり価値なしと思っているのかもしれないわよ?」美貴が口をはさんだが、
「ほんとかよ」と大樹に茶々を入れられて黙った。

 歩き始めながら、友納は和気と情報交換をする。
詳しい話は落ち着いてからだと言い、しんがりは部下の若者たちが務めた。
 大樹を見て「彼は?」と友納が問うので、和気は
「訓練学校予備役の大樹くん……って、君、姓名は?」
そういえばダイキ、ダイキと呼んで、名前も知らなかった。
「はっ。……防衛軍少年宇宙戦士訓練学校南分隊、如月大樹」
棒を呑んだようにしゃっちょこばって敬礼してみせた。
 はいはい。……この、身に沁みこんだ軍人根性ってなぁどうしようもないな。
和気たちには傲岸不遜な態度を崩さなかったくせに、軍人の上官となったら一転、これだ。やれやれ。

 南分隊、というのは予備役のことで通称「サウス」。
(これは後の少年たちの育成校で、2206年に防衛軍訓練学校が復活した後、予備校として再設定されることになる。ここで1年または2年を過ごした後、成績・年齢により訓練校の1年または2年へ編入。南分隊のほか、北分隊(ノース)、東分隊(イースト)、さらには後に火星・月など惑星育ち用の分校、月分隊(ムーン)が設立された(2220年))
単なる通称で、別に南支部にあるというわけではない。
「――よく皆を護ってくれた。私からも礼を言う。本隊と合流したらそこで指示を仰ぎたまえ。此処に居るのも皆、訓練学校の先輩がただ」
友納が後ろを歩く訓練学校生たちを指すと彼らはそれぞれ手を上げたり会釈したりして見せた。
「はいっ。よろしくお願いします」
後ろに向き直って大樹は礼をし、また元に戻った。

 「ところで、友納。俺たちはどこへ向かってる?」
「――行ってのお楽しみだ。というよりも口外する権限は与えられてない。この後の動きがどうなるかわからんため、しばらくはついてきてもらうことになる。了承してくれ」
――和気は了解した。
後をつけられる可能性、捕虜になった間に転向させられた可能性、救助ののち開放した可能性……あらゆることを考えている。
 「……地上へは、上がれないの?」こわごわ、といった風情で後ろから美貴の声がした。
「上がった途端に蜂の巣、または営巣に逆戻り、でもよければ、どうぞ?」
大樹が意地悪く、隣に並んで言い、美貴はまた黙った。
 どうでもよいが、この二人は年齢が逆転しているかのように相性が悪そうだ。

[↓下へ続く]


 そのまま歩き続けて約半日。

 和気と如月以外の3人に強い疲労が見え、口数も極端に少なくなってきた頃。一行はある場所に着いた。
 エレベータに乗り込み、動き始める。
「地下都市への入口、ってとこだな」
和気が気軽にそう言ったが、友納は答えない。
 エレベータはすぐに停止し、建物の中であることを示唆する。いぶかるように一行が続くと、ある部屋に通された。

 脱出して以来の明かりらしい明かりの中に晒されると、安心というよりも不安の方が先に立ったのか、一同は固まって部屋の中央に立ち尽くした。
 何故か連れてきれくれた一行は、入口と彼らを囲むように、警戒をするように立っている。
日下と志麻はまだ中に入ってきてはいなかった。
 部屋の隅からその緊張感を破るように現れた人物を見て、和気は驚いた。
(か、貝塚先生?)
ヤマトの佐渡艦医の助手を務めていた貝塚俊介医師。
「やぁ」明るい表情で手を上げて、その反対にそら、と有無を言わさぬ指示で訓練生たちが全員を取り囲み、
「済まないね、ちょっとした我慢だ」
拘束されてもがくところにぷしぷしと注射針を突き立てていった。
 和気と大樹は咄嗟にそれを避けてしまい、
「なにをする!」「や、やめろっ」と叫んで(大樹の方は)暴れたが、結局、友納の部下たちに押さえられた。
目で彼を見ると、友納は頷いて、
「あとで説明する。今は言うとおりにしてくれ」
和気が諦めて腕を差し出すと、
「目が覚めたらお話しますよ、和気さん――」
そう言った貝塚の顔が薄れていった。

(続く)
スポンサーサイト

もくじ  3kaku_s_L.png ♪ 情報・連絡
もくじ  3kaku_s_L.png 【はじめに】
もくじ  3kaku_s_L.png KS&MY百題_新月版
もくじ  3kaku_s_L.png G2005-70 Timeout
もくじ  3kaku_s_L.png G2006:AD2200年代
もくじ  3kaku_s_L.png Yoko Sasa短編
もくじ  3kaku_s_L.png 短編:相原祐子
もくじ  3kaku_s_L.png パラレルA
もくじ  3kaku_s_L.png Original 新月world
もくじ  3kaku_s_L.png ◇ヤマト2199
もくじ  3kaku_s_L.png 未分類

~ Comment ~

管理者のみ表示。 | 非公開コメン卜投稿可能です。

~ Trackback ~

卜ラックバックURL


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

【天泣、再生→生還・08】へ  【天泣、再生→生還・10】へ
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。