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bu2009-29 天泣(てんきゅう)

天泣、再生→生還・11

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11 = 地上 =

 和気と如月が見聞きしたことについては友納がまとめて本部に送っていた。
他の民間人たちはほとんど何も聞かれておらず、また見てもいなかったのだ。
拷問を受けたということはそれだけ長い時間、相手と対峙することでもある。
優れた軍人なら、ある程度の推測もできる。だがそれからわかったものは多くはない。

 「ようし……あの茂みを伝って行こう。貝塚さん、この奥ですか?」
医師が頷くのに4人はするりと続いた。
 貝塚の感覚は正確で、ゆっくりと彼らは建物の影を利用して進んでいった。
 「ここだ…」
うらびれた感じの建物が見え、だがもともと使われていなかったのか中にもあたりにも人の気配はない。
「院長が亡くなったあと打ち捨てられていたらしいな…」
器具が使えればよいがと貝塚はつぶやき、余分な感傷抜きにさっさと部屋へ向かうと廊下の奥の1部屋の前に立った。
友納に向かい頷いて見せ、彼は躊躇なく腰のガンを構えて施錠を溶かす。
慎重にドアの内側へ入り、一通り眺めると、
「貝塚先生、お願いします」と友納は言ったあと、ドアの外へ立った。
「如月。君は外を。窓の下からあたりをうかがってくれ。明かりが点けば人目を引く」
大樹は頷くと、表に出ていった。
 「野崎くんは中を警戒。日下さんは僕と此処を死守してくれますか」
日下と志麻が頷いてそれぞれの配置に付き、秋里はいたたまれない思いで貝塚を見やった。
 友納の指示で暗幕を窓に張り巡らせる。

 「こちらへ……」
診察台の周りに様々な器具が並び、和気は素直にそこに横たわった。
「――脳髄の近くに設置されている。外すと信号が出て人体を傷つけると同時に発信される可能性がある。――工作班がいないのが苦しいが、なんとか信号をシャッタアウトしてから外すように努力するが、、、失敗しても恨むなよ」となんとも恐ろしいことを言う。
「貝塚先生…」
言葉を発したのは友納で、その瞳が貝塚を見据える。和気は、言葉は少ないながらも真剣に心を痛めているであろう友の心中を察した。
「心配するな、伸義。……運に任せるときってあるもんさ」
努めて明るく笑ってみせたが、ヤツの唇が“莫迦”という形に動くのを一瞬、見、早くとうながして貝塚に視線を動かした。
 貝塚医師は、余分な感情を動かして無駄にするような時間を持っていない人間である。
消毒が終わり、和気の施術部分を消毒布で覆うと術野をすぐに作った。
「――助手は? 必要ですか」友納が言うが首を横に振る。
「いればありがたいが、割ける人間がいない。私は手術が終わるまで動けない上、繊細な作業だから、レーザーが来ようが火が回ろうが動けんからな。そのへんは頼むぞ」
「了解(ラジャ)――10分、ですね」
「あぁ」うなずく時にはすでに、メスが手に握られていた。

 和気の首の白さが目に飛び込み、友納はドキりとした。命の色だ――と思ったのだ。

 遠くで微かな音が響き、それは爆音に思えた。
「友納さんっ」
志麻が小さく鋭い声でそう言い、銃を改めて構えた。
 外で銃声が響いたが、すぐに静かになった。
人の気配がして、廊下に顔を出して見れば大樹が駆け込んでくる。
「どうしたっ」
「敵襲っ」
「報告」
「……2人倒した。偵察のようだ。もうじき大勢押しかけてきそうだ」さすがに少し青い顔をしている。
 手術開始から、まだ1分経っていなかった。
 友納は顔を上げると、「野崎くん、中で。窓からの襲撃に備えろ」と言い、大樹と共に出ていった。
「――如月。周りを固める。絶対に進入を許すな」「はい」

 敵の数が知りたかった。
大きな獲物を持っていて、建物ごと吹き飛ばされたら終わりだ。
先制攻撃をかけたかったが、実線経験の無い若者と2人で出来ることには限りがある。
(ともかくやらせるわけにはいかない)
貝塚を信じ、自分を信じて戦うしかなかった。


 森がざわめく。
 ヤツらの特徴のひとつとして、身体の重さがあった。地球人よりも比重が重いのだ。
その分、索敵は可能になっていた。

 「如月――敵の位置と数を」
大樹はうなずき、スコープを受け取った。
和気以外の追尾装置はH緩衝から上昇した地上に破棄してきたから、現在、彼らが狙っているのは、和気の身体に付けられた発信機であろう。
「……2……3……5、さほど多くはありません、5です」
(十分、多いな)と友納は思う。
 それほどまでに捕虜の脱走に力を入れるか? それとも“和気が”狙われたのか?

 和気への尋問はこれまでの帰還兵たちと少し異なっていた。
執拗だという印象もあるし、それにしては痛めつけられた度合いが薄い。帰ってきた軍人はほとんどいなかったので、彼らがどんな目に遭っているかはまったくわからなかった。
 地下の防衛軍では、いつしか噂になっていた――敵陣営に、森雪が捕えられている。
……本当かそうでないかはわからない。ただヤマトが出発した時に、彼女はそれに乗っていなかった。
発進した時に行方不明、それらしい遺体は見つかっていない。だから地下で希みをつなぐ者たちは、そんな希望にもすがろうとするのだ。

☆ ☆

 友納は頭を振って、雪の美しい姿を振り落とした。
同時にそれは古代進の面影を蘇らせる。
今頃どこで戦っているだろう――戦っていることだけは、信じるまでもなく確信していた。
 ヤマトがある限り、あの男は負けない。地球を想い、雪を想い、そうして俺たちを守ろうとして、生きるのがあいつなのだ。
 いま自分にできることは――和気と、貝塚さんを守ることだった。
そうして、ここにいる如月や日下、野崎も。……誰も殺させるものか。

(続く…)
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