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bu2009-29 天泣(てんきゅう)

天泣、再生→生還・13 Fin

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13 = 生還…戦いへ =

 和気はどうやって其処へたどり着いたのか、記憶がなかった。

 意識が戻ったとき、何かの上でゆられていたこと、耐え難い痛みに貫かれて叫んだのを押さえ込まれて、暴れて、また気を失ったこと(本当は鎮静剤と化膿止めを打たれたのである)、そうして意識と時間の感覚を失っていた。
 実際には、地下の拠点へたどり着き、そこへは搬送車の迎えが来て無事、6人は本部へ戻ったのだった。
和気は看護室へ入れられて再度、検査されベッドに寝かされ、また恐らく気を失っていた間に、拷問の跡などもおそらく仔細に調べられたに違いない。
それほどに情報は欲されていたし、和気たちはおそらく、非常に数少ない“捕虜になったのち戻ってきた人間”だった。
 中でも如月大樹と和気秋里は、(軍人でないまでも)軍属である。

 数日が経った。

 藤堂長官自らの訪問を受け(内容は取り調べにほかならなかったが)た翌日、和気は部屋を出て、自分のブースをあてがわれることになった。
あの時、一緒に逃避行した人々がその直前、病室を訪ねてきた。

☆ ☆

 「みんなもう、部屋は決まったの?」
「えぇ。Bブロックに、まとまって暮らしてるわ」
全員が、なんとなく近くに住んでいた。
同じエリアの枝分かれしたブースにいる。共有感もあるのだろうが、ある程度、示唆されたようでもあるという。
「――あまり離しておきたくないらしいですよ」
二見がめがねの奥の目をしばたくようにしてそう言った。
「なにせ、“戻ってきた”のは僕たちだけですからね」
いろいろ聞かれましたし、というほどに尋問は執拗だったそうだ。
内村医師は軍の嘱託医として手伝いをすることになり、佐竹夫妻も手伝うといった。
ここでは皆、なにがしかの働きを求められていることは確かで、地下都市にも昔のような社会が形成されつつある。
 「日下と志麻さんは?」和気が尋ねると、
「もともとパルチザンに入っていたみたいですよ」
と佐竹が答えた。息子さんは? と佐竹香織に和気が尋ねると、
「えぇ。無事、逃げ延びて、Cブロックで働いているんです」
と、この時ばかりは心底安心した笑顔を見せた。

 大樹はそのまま軍に組み込まれたといい、友納の部下として動いているらしかった。
驚いたのは美貴で、司書の仕事を生かして情報・資料まとめの下働きをしているらしいが、なんやかんやと大樹のコンパートメントへ通って世話をやいている。
どういう心境の変化なんだかわからないと言っていた。
(大樹ってまだ13か14だよな? 美貴ちゃんの方が6つくらい上なのでは)
女はわからん、と和気は思う。

 そんなわけで、その日は美貴・大樹・伸義は居なかったのだ。

☆ ☆

 友納が来たのはその後だった。大樹が副官のようにそばに付いていた。
単刀直入に聞くけど、と前置きしたあと、
「お前、どうする?」
とそう言った。
 「おい」
和気は、目で大樹の方をみやり、(まずいだろ)と言ったつもりだったが、友納は首を振った。
「――知ってるさ、もう。お前の名前から調べたらしい。案外ミーハーな少年だよ」
少し苦笑するようにして友納は言い、大樹はぱきっと敬礼すると、それを和気にも向けてみせた。
……一緒に逃避行していた間はついぞ見せなかった態度だ。

 「――敵の手に収まった人間でも、やれることはあるのか?」
和気は自分が疑われているのではないかと思っていた。
だが、何も知らないことも確かだし、眠っていたヤマトの魂が、この戦いでよみがえっていることも確かだ。
それに……
「古代も、島も。真田さんも――ヤマトで戦っている」
え、と和気は身体を起こした。「本当、か!?」
友納は頷いた。
「――極秘だ。だが、一度は連絡が入った。ここでは言えないが……俺たちが戦うのはそのためでもある」
「伸義っ!!」
が、と和気は彼の腕を掴んだ。
「……戦闘機乗るしか能のない俺でも、できるこたあるのか?」
「ある」
 それに、お前は十分、社員や仲間を守って戦ったじゃないか。
全員、生き残って、此処にいるじゃないか、と友納は心の裡でそう思った。
 「宮本さんもいるぞ――新乗組員だった北野や坂本も潜った」
北野? 坂本?? 名前は聞いたことがあったが知らない連中だった。
宮本って、宮本暁か? ――また懐かしい名を。
「古河は? ――そうだ、佐々さんはっ!?」
途端、友納の表情が硬くなる。無表情に近く、何も表さない顔になった。
 まさか……。
 2人がやられたとは思いたくないが。

 古河の話はゆっくりする。
お前は戦時徴収で、元の階位の1段階下で復隊。コンパートメントは……俺と一緒でいいかな?
 少し困った表情で言うのに、
「少尉殿とご一緒でよろしいのなら」
ニヤりと笑って和気は答えた。和気はヤマトを降りた時、少尉だった。
だから服属すれば准尉となり、友納の方が上官になる。
「部屋はぼろだが余っててな。……如月は隣の号だから、仲良くしてやってくれ」
「はいっ、よろしくお願いします」大樹はぱきっと頭を下げた。

 いまの自分に何が出来るのか――和気は自己に問いながらも、胸に湧き上がってくる不思議な思いに囚われていた。

★ ★

 ヤマトが戦っている――遥か宇宙の彼方で。どこにいるかわからないが、確かに地球のために。

 詳しい現状を知らされたのは、夜になり、情報の伝達を公式に許可された友納と自室に納まってからのことだったが、和気は驚愕する思いでこの襲撃からはじまった戦いの全容を受け入れていた。
(そうだったのか……ヤマトが。そうだったのか)
それに。
(古代守参謀……)
 その日はさすがに寝付かれず、様々な思いが頭を巡った。

 だが和気は誓う。
 ここで、できることをしようと。仲間や、友や、そして地球のために、と。

 森雪生存の情報が流れ、その確認が取れたのは、翌日のことだった――そうして、その奪回作戦が練られはじめる。
 その雪から得られた情報と、敵母星へ向かうヤマトと。
 遥か銀河を挟んだ戦いが、始まろうとしていた――。

【Fin】

[あとがき、あります(_ _)]
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