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bu2009-08 龍の棲む

龍の棲む06 【回天-開戦前夜】

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4 = 邂逅 (続き)

          ★  ★
 「それにしても、お前が助けに来るとはな」
ミーティングルームを出、それぞれの準備にかかるために散った処で守は古河に声をかけられた。
「古河さん――」
その瞬間だけこわばった守の表情が緩み、普段のきれいな顔になる。
「――私は。最初から父を護るために投入されたんです。今回の作戦は」
「そうか……古代も心強かろう」
古河はそう言って守の肩を叩いた。
「――息子が助けにきてくれるなんてな……」
目になんともいえない表情が浮かんでいた。
「だが初陣だろ? ヘビーだな」
「そんな。奉職すれば当然のことですから」
ニヤリと古河はわらった。「さすが、古代の息子」
「おじさん……」
 会話は短かった。
 『艇長。艦橋へお戻りください――検索に反応あり』
「わかった。いま行く」
ぴき、と敬礼をして、古河はもう一度守の肩を叩いた。
 「絶対に、救うんだ――なに、大丈夫さ。あいつだとわかれば相手も絶対に殺しはしない。丁重に扱われていることだけは保証してやる」
「……だといいのですが」
自分が囚われた時、どのように“丁重に”扱われたかを思い出した。
……そういえばこの人も捕虜経験があるのだった。とふと思った守。
その古河は親指を立ててみせ、格納庫の方へ去っていった。
再発進の準備をし、部下たちと打ち合わせがある。

           ★  ★
 その頃、アクエリアスの古代進らは、ニ隻の戦艦ごと囚われていた。
古河や守が咄嗟に想像したほど酷い目に遭っていたわけではない。
殲滅しようという意図ならとうに撃沈されていただろう。
相手はアクエリアス艦隊を認識した途端、砲撃を止め、沈黙した。
艦エネルギーを無力化され、駆動系を封印されて動けなくなっただけで、通達もないままに放置されていた。
 通信手段も閉ざされた暗い艦内で、古代は乗員たちを食堂に集め、状況を説明したあと持ち場と部屋へ返した。――休めるうちに休み、また食っておけ。古代の言葉に皆、笑って引き上げる。
そのくらいで動揺する隊員はいない。皆、長年古代と苦楽を共にしてきた者たちである。
 そうして古代自身は艦橋へ戻り、艦長席に深く座り込んだ。
――頭の中に様々なことが去来する。……どうするべきか。
資料は事前に与えられていたのだ。
いくらかの可能性も示唆され、中でも最悪のパターンに嵌ったということだ。

 一命を賭しても任務を果たせ……とはいわれていない。
作戦の要(かなめ)は何だ? その第一弾には失敗した――有無を言わせなかったのだ。
では次にできる事は? ――交渉になるだろう。
それを有利に導くことと相手の情報を得ること。そうして、皆を無事に連れ帰ることだ。
 どれもこの手足を捥がれた状態では非常に困難だと言わざるを得なかった。
 いっそ捕虜になってしまったらどうだろう? こちらから投降し、交換条件を求めるのだ。
外交特権は与えられていた。
自分にどれだけの価値があるかは量りかねたが、重鎮を出すわけにはいかず、だからといって消されて終わりの立場の者でもいけない。
 古代進は、自分の“虚像”に賭けてみようかと思った。
――世論が味方してくれるのではないか。またこの作戦そのものに期待されていたのもそれだろうと想像もつく。
 だが、もう一つ可能性はあった。
……なんとかエネルギーを奪取し、自力で脱出することだ。
そのための少数艦での出撃なのである。
        ☆
 そこまで考えた時、微かな音が艦橋に入った。
特殊通信回路である――これでハッキリしたな。
相手は、地球人で。しかもかなりの情報力を持った者たちだということだ。

 『古代艦長――おられるだろう』
「戦艦アクエリアス、艦長・古代だ。貴方がたは。答えていただきたい」
その位置のまま古代は答える。
『捕捉しているのはこちらだ。言うとおりにしていただこう』
古代は静かに相手を見返した。
「……どうすれば、よい」
『すぐにこちらから行く。回路を開き、お待ちいただく。そののち、こちらへ移っていただく』
古代は瞑目した。
 「……わかった。艦腹に穴を開けるのはご遠慮願いたい。こちらから同期させる。指示コードはxxxx」
目顔で通信士と技術士に合図を送り、艦橋で控えていた彼らは頷いた。
 「艦長!」副官が見上げる。
「……心配するな。殺されはしないよ。おそらくな」最後は少しおどけた調子で言ってみせる。
「――私も随行します、ご許可を――いや、無くても行きます」
戦闘班長の日向(ひゅうが)がそう言った。眞南が困惑した調子を見せるのに古代は頷き、
「そうだな……眞南と権藤は艦をまとめておいてくれ。……いつでも発進できるように、だ。……日向は一緒に来てくれるかな」
「はいっ」
「艦長…」
「すぐに逃げ出せるように、ですね」これは権藤だ。古代は頷く。
「緊急回路は開いておけ。秘密コードはわかるな?」通信士が頷いた。
 すぐに艦橋を出るように古代は言い、眞南、権藤、通信士、技師チーフらリーダーにあたる人間の姿を隠した。

 艦橋に残ったのは数名。
「どういう目に遭わされるかわからんぞ?」
まだ若い日向に古代は穏やかにそう言うと、彼(ひゅうが)は表情を引き締め頷いた。
「艦長は、私がお護りします」
古代は、それが無駄な力みだと承知していたが心強く思い、頷いて言った「伝言係は必要だ」と。

           ★  ★
 通路に気配があって、武装した10人ほどが艦橋へ侵入してきた。
『大人しくするよう、指示するのだ、古代艦長――抵抗しなければ艦の破壊もしない。また人員も傷つけない』
マスクの下の顔はわからない。くぐもった声が響き、古代は頷いて全艦放送を入れた。
(民族闘争の革命軍にしちゃ平和裏だな。……やはり?)と古代は内心思うのだ。

 「――こちら艦長、古代だ。武装解除。各人、そのまま待機せよ。私はこれから敵艦にご招待を受け、少々出かけてくる。戦闘班長も一緒だ。…騒がず、動揺せず、大人しく、待っていてほしい」
古代は“大人しく”に僅かながら力を込めた。古参の隊員ならそれで古代の意図するところは伝わったと信じよう。――俺はこれから、如何にして逃げるか、を考えるぞと古代は内心思った。
 「あなたがたは何者だ」
あくまで毅然と古代がそう訊ねるのを、銃で押して、相手はまったく答えようとしなかった。
「何をするっ」引き立てられては叶わないと思い、連中が来る前に眞南と権藤は艦橋から出した。
さらに通信士も、技術士もだ。だが
『――技官を一人。責任者を連れてこい。それと、お前』
――日向の同僚の砲術士もつつかれた。技術チーフは残っていてもらわなければならなかった。
ぐ、と口元を引き締めて立ち上がったのは近藤という男だ。
以前、真田-向坂の研究室に居て、実戦派の若手でなかなかの熱血漢でもある。

 4人は引き立てられ、艦橋を後にした。
 出ていきがしら、相手は入り口から銃をぶちかまし、パネルの一部を弾き飛ばす。
「あっ! 何を!!」「やめろっ!」
近藤と日向が同時に叫び、日向が体当たりを食らわせようとしたが、いち早く逆に銃で殴り倒された。
『――逆らうな』
 「日向! ……近藤。いまは静かに」
古代は穏やかにそう言って2人を肩で支えて立つのを助けると、
「皆、あとを頼む」と言い置いてアクエリアスの艦橋から出ていった。

= 5 =
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