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bu2009-08 龍の棲む

龍の棲む09 【回天-開戦前夜】

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6 = 拉致(続き)

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
       ★   ★

 「――無駄だ」ひとしきりの拷問で声は枯れていたがその口調は静かだ。
『答える気になったかね』
その間も尋問官の細かい質問はまるで独り言のように続く。
古代はそれにもまだ一切、答えていなかったが、揺さぶり続けられる精神を強固にガードし続けるのは、鞭で打たれ電気ショックを与えられるより厳しい。
 「わたしの名を知っているのなら、その経歴もご存知だろう」
古代は賭けに出た。
『――もちろん。素晴らしい実績と、民間伝説の部分までね。
“地球の護り神、戦神――奇跡”とまで言われていらっしゃる。そうでしょう、“ヤマトの古代”さん』
「だからだよ。ヤマトの機密に関わった幹部たちは――記憶層に“仮死催眠”をかけられている」
『――続けてもらおう』
「――仮死催眠はご存知だろう。……一定以上レベルの、ロックのかかった記憶に触れると意識レベルが低下し、仮死状態に陥る。一定時間以内に暗示を解除しなければ、そのまま死に至る」
『――記憶を封印してしまえばよいのではないかな』
 古代は皮肉に笑った。
「――そうして敵の罠に落ち、このようになった処で精神棒(サイキック・グローブ)で頭の中をかき回されるというわけか?」
ほぉ、と相手は感心したように息を吐いた(らしい)。
 封印された記憶なら解除することはできる。ただし、相手の脳に損傷を与えることを厭わなければ、である。
封印を解き記憶を探り出したあと、廃人になる可能性は大きいため、人道的な意味でこの方法を用いることは無い――少なくとも古代たちの属している世界では、だ。
 だが“仮死催眠”は、まったく別の脳コントロールだ。

 「それだけでは……ない」
古代は荒い息をつきながら微かに言葉を吐き出した。
「失えない記憶もある――それぞれの、立場も、な」
『さすがに“ヤマトの古代”だな――イスカンダルやシャルバートの記憶もお持ちか?』
「……ノー、コメント、だ」
 実際に古代自身がその機密を背負い込んでいるわけではない。
だが古代をはじめ、真田や南部らメインスタッフに近い者は、量の差はあれその処置を受けていた。
解除の方法は僅かである。
仮死に陥った時に、地球(=真田志郎)から遠く離れていれば、それはそのまま死を意味した。

 そこからの意識は無い。
 古代は精神の糸が切れるように、その場に崩れ落ちた。
――仮死催眠に陥る前に、意識のブレーカーを自分で飛ばしたのかもしれない。
その結果、肉体的に危機に陥る可能性はあったが、それは古代の本能が選んだもので、本人には無意識だったろう。

              ☆
 (のどが、渇いた…)
そう思ったということは、まだ生きていたのか、と古代は思った。
目を閉じたまま気配を探る。見張られている可能性があったからだ。
(真横に誰かがついている、という様子はないな……)
 どのくらい意識を失っていたのだろう? 自分は何かマズいことを言ってしまったのだろうか? 
それを確認する術はなかった。
――無意識を攻撃される心理攻撃に耐え、相当に意思強固に護ったという意識はある。
それでも三つに一つくらいは答えそうになった時に、あの会話だ……そうだ、思い出した。
 意識を失くしていた間に何か言ってないだろうか。
 いや、ないだろう――それならば体が覚えているはずだ。

 手足を動かそうとしてまず指先を動かしてみた。動くことがわかり、首を回そうとして苦痛に呻いた。
目を開き、顔を動かさないようにしてさらに慎重に気配をさぐり、薄暗い部屋に幽閉されているとわかった。
(艦内では――ない!?)
洞穴のような触感がある。ゆっくりと手をついて起き上がりあたりを見回した。
見張り兵が居るかと思ったが、歩哨は微かに見える明かりの先に足元が見えるだけだった。
(やはり、蟻か!?)
穴のつくりがそのように見えたのだ。部屋は丸く天井高は必要なだけはあるが、通路はおそらく大人が腰をかがめてようやく歩ける程度の高さしかない。そのため向こうからこちらも見えにくいだろうというのが幸いだった。
 もちろん部屋ごと光学的に観察されている可能性もあったため、古代は気にしないことにした。
このあたりが古代進が古代進たる所以なのかもしれなかったが――。

 (ここは、どこだ?)
部下たちはどこへ連れていかれただろう?
 あちらこちらが激痛で痛む。
上着を取り、腕や足、肩に異常がないか確認してみたが、骨も折れていなかった。幸運だった――というよりは手加減されていたということになる。
……情報が、欲しかった。
動きが取れない――だが、なんとか脱出しなければ。
 古代は、座して死を待つつもりもなければ、何かの交換条件にされるつもりもなかったからだ。
(まぁ殺しはしないだろうがな)

 “ヤマトの古代”と言われたのは何年ぶりだろうか。
自身ももう遥か彼方に置いてきたことだ――もちろん今でも忘れることなどない。
あの艦(ふね)と共に在(あ)ったのは、わずか5年に過ぎなかったが、それは一生に等しい時間だったのだ。
 (――島。俺はまだ、お前の処へ行くわけにはいかない)
ふっと、亡き友が笑ったような気がした。

= 7 = へ続く
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