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bu2009-08 龍の棲む

龍の棲む11 【回天-開戦前夜】

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7 = 救出・2
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 古代の片手と脚を縛っているロープのようなものは先ほどちょっと手持ちの仕込みナイフで切ろうとか焼こうとしてみたが特殊素材でできているらしくびくともしなかったし、その端は部屋そのものにつながれていた。
引いてみると締まるようになっているらしく、手首の痛みに諦めざるを得なかった。
これを逃れて外へ逃げる方法は?
 ご丁寧にロープそのものにも苦痛が与えられる仕組みである。
暴れれば締まり、また、少しずつ温度が上がってきているようなのが気になった。
火傷をするほどになったらまた呼び出されるのだろうか? 
それともこのままじわじわと手首と片足を焼ききろうというのだろうか? 
相手が「人」なのか、もっと違う考え方をする生き物なのかわからなかった。

 古代が接したことのある相手で、もっとも“非人間的”だったのは暗黒星団帝国デザリウムの尖兵たちである。
幹部にはついに接触する機会がなかったが、「人間的かどうか」ということは、惨いとか残酷だということとは異なる。
共通の文化基盤や哲学を持っているかどうかという話だ。
 例えば人権や人の生死についてどう“感じるか”――もしこれが異なる場合。残酷ともいえる処置をしても痛痒も感じないだろう。
古代が危惧しているのはその点だけだった。

 古代は目を閉じて壁にもたれた。
(さて、どうするか――)
頭の中に様々なシミュレーションパターンが浮かぶ。
 彼らを救わなければならない――そうして、出だしからつまづいた作戦は、どこかで取り返さなければならなかった。

                ★
 基地全体に揺れが来た時に古代進は少し意外な気がした。

 え? と顔を上げ、動ける体制をとる。
日向たちでは【ない】――直感のようなものだった。
岩場全体が揺れ、位相に振動がある。
 (“外”からか? ……まさか!)
助けがくるとは思わなかったのだ――いや、そうか、それでか。
最初の指令の中に含まれていたことの意味――きっと風間だろうが。

 ともあれそれは“希望”だ。
 自力でムリでも助けがある。その時にベストなことを考えるしかなかった。
少しでも体力を温存しておかなければ。
ここを破った途端、艦へ戻るまでは戦い続けなければならない――しかもどれだけの距離があり、どんな戦力かもわからないのだ。
(無謀、だな……)
自分の本質は何も変わってないのだと古代は自嘲した。

 此処を守っている者たちはあまり知能が高くないのか、揺れに驚いてバタバタと走り回る足元ばかりが見えた。
古代は床に伏せ、何か抜け出す方法がないかと柵を調べてみたが、どこも強固で手に負えない。
いずれにせよ縄を解かねば自力での脱出はムリだった。
 根元は岩盤そのものに食い込んでいるように思われた。
もしかしたらその先がどこかに通じている可能性も否定できないが、縄そのものを切ろうとするより現実的なのかもしれない。
 (仕方ない――イチかバチかだ)

 簡易爆弾を利用すれば自分が下敷きになる可能性は免れなかったが――他に方法はないだろう。
靴の踵をはずし、艦長服の裏布のラインの中から動線を、さらには裾に縫い込まれた資材を活用して組み上げていく。
片腕が締め付けられているのでなかなか楽な作業ではなかったが、それでも数分はかからない。
――監視装置がある可能性は無視することにした。

 用意ができ、低い岩盤の天井の隅にそれを設置した。
(覚悟はいいな――古代進)
自分に向け胸の中でつぶやいた。
胸のタグの点滅が増し、外のざわめきの中から煙が伸びてくるのが見えた。

= 8 =  へ続く↓

8 = 救出・3
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 古代守は、艦橋に立ったまま窓外を凝視していた。
端正な横顔が厳しい様相を帯びている――その表情は彫像のようで、整っているだけに近寄り難い厳しささえ感じさせた。
 駆逐艦アリオスの艦橋ではもちろんそんな艇長の様子を気にするわけではない。
戦艦アクエリアスと古代進司令の安否を気遣っているのは、誰もが同じだったからだ。
歴戦の戦士たち――艇長よりもベテランが多い。彼よりも若いのは航海士の相原航(わたる)くらいのものだった。

 「艇長――まだ待ちますか」
守は頷いた。
「古河隊の合図があるまで手を出すな」
「はっ」下野以下全員がそれに従う。
「――すぐに砲撃できるようにしておけよ。場合によっては間に切り込むからな」
え、と守を見返した者もいたくらい、それは過激な発言である。
ふと艇長の目が和んだ。
「大丈夫だ――この艦の性能なら行ける。君たちの操艦技術もな」
 そうして鋭い目でまた目の前のパネルの光点を睨んだ。
 基地か? 相手の艦(ふね)か。
父たちが捉えられているのはどちらか。その脱出が行なわれ次第、艦隊には砲撃をかけ、基地は押さえる。
古代守が受けている指令は、「アクエリアス艦隊を護れ」であったが、アクエリアス艦隊が受けている指令は「相手の正体を探り、内戦を鎮圧すること」だからだ。
アクエリアスが初動に失敗したからには、その任務ごと成功させる必要があった。
 それにはまず、古代進とその乗組員たちの所在を知り、救い出すこと。
次に、相手の艦隊または基地を叩きのめすこと、と古代守は決めている。

            ☆
 「4人? ――4人だな」
古河が確認し、一人が頷いた。よし、場所も特定できたはずだ。
「1人が深部に、あと3人は比較的中枢に近い表層部にいますね」
「1人の方が古代だろうな――そっちを攻めるぞ。なるべくこっそりだ」
古河は先に立ってセンサーの中の人気の無い場所を拾って走っていく。
深部へ深部へ向かうことになるのだが、恐怖感は無い。特攻隊にはありがちな作戦だからだ。
速やかに潜り込み、敵陣を突破して目的を遂げ、生還する――この場合は最後の項目が大事だった。
 「蟻の塚に似てますな」皆がそう思ったに違いない。
「1人も零(こぼ)れるなよ」
彼は念押しでそう言ったが、皆、少し緊張した面持ちで、だが不敵に頷いた。

 合図があった。
 古河たちの隊から駆逐艦アリオスへ。「発見&Go!」の合図だ。
だが岩盤の中をくりぬかれた地底の基地である。
砲撃は脅しと動揺を誘い、目を外に向けるためだけのものにしていただけなければならない。
でなければあっさり“生き埋め”の可能性もあったからだ。
 ほどなく、ズシん、という衝撃が足元から届いた。
びりびりと惑星ごと揺れるような気がするのは、内部の爆発とは異なる。
アリオスが砲撃を始めたに違いなかった。
 よし、と古河は頷き、皆と目を見合す。
低い姿勢に構え、投擲爆弾を持った。
「行くぞっ」
合図と同時に光と爆煙が走り、彼らはそこを駆け抜けた。

 「古代っ。無事かぁっ!?」
煙の向こうにそれらしき部屋があり、そこに人の存在を確認したとき、古河は叫んでいた。

                    ★  ★
 同時に二つの爆発音が重なり、古代は顔を覆って細かい破片の落下を避けた。
もうもうとする土煙の中、それとは別の白い煙が通路を這ってくる。
(なに? ガスか?)
 本当に蟻塚状態のようなこの基地の各部屋は、ガスでも撒かれたら空気の逃げ場が無い。
窒息か薬殺か――ということになってしまうだろう。
幸い、古代の仕掛けた簡易爆弾で岩盤の隅が剥がれ落ち、その先に結ばれていた骨格が崩れた、部屋そのものも半分が崩れ落ちる格好になったが、縄は落ち、古代はそれの一方の端を拾うとくるくると丸めて片手に持った。
外すことはいまは考えても無駄だろう。

 背を屈めてもう一つを柵の下に仕掛けようとしたときだ。
 突然に檻の外がザワついた。
再びの爆発音がし、人が駆ける音がし、
「古代っ。無事かぁっ!?」という声が聞こえた。
(古河っ?)
何故此処に? という意識の前に、古河大地の声が懐かしく響き、また古代の意識は不思議な時を駆けた。

                  ☆
「いま行く。体低くして柵から離れろっ!!」
古河の声が再び響き、古代は身を翻してその狭い部屋の奥へ転がり身を伏せた。
ばらばらと駆け寄る人影が
「艦長、檻から離れて!」
そう言った途端にレーザー銃が火を吹き、煙のあとには通り抜けられる穴が開いていた。

「艦長、早く。こっちだ」
古河が先導し、通路を確保しているらしい2人が手招く。
「待て。日向たちが――」古代が走り出しながら躊躇すると
「大丈夫だ。もう一隊が向かっている。この先の分岐で合流できるはずだ」古河が請け負った。

= 9 = へ続く
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