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Original 新月world

「second love」01

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【Second love】
――:お題2006 No.51 「砂浜」

1.
 加藤飛鳥は、自他共に認める、ファザコンである。
 それは、誰もが知っているし、そうなっても仕方ないと、皆が言う。
父は――そんじょそこらの男ではない。地球を救った英雄の一人……元宇宙戦艦ヤマトという艦(ふね)に乗って、最後は戦闘機隊長を務めていた。現・地球防衛軍の若鷹と期待を集める古代進の、懐刀で、友人。そして現在(いま)は。月基地総司令を勤め上げ、防衛軍本部に戦闘参謀の一人として従軍している。
職務のわりに印象は柔らかくて、優しい。明るくて、いつも回りに人が絶えない――慕ってくる後輩や仲間は皆、私のことを可愛がってくれるわ。……欠点といえば、母にべた惚れだ、ということくらいで。


 長い間、母さんは私たちを月に置いたまま、地球と――それから遠い惑星に居た。
 父さんの月勤務が終わって、私の体も丈夫になったから――地球に合わなかったんだそうだ――一緒に地球へ降りて。初めて地球という星に来て、今は一家4人(?)一緒に暮らしている。
だけど。
長い間離れて暮らしていた母さんや兄さんとは、なかなか今も馴染めない。
学校へ行っている方が気がラク…。その学校も、エレメンタリースクールを終え、もう中学生だ。そろそろ、どうするか決めないといけない。

 ファザコン――確かに昔は父が好きだったけど。今は。


 「聖樹――! こっちよ」
廃材で少し蔭になった一角から飛鳥が手を振って、訓練学校の制服を着たままバイクで駆けてきたその少年は、えい、と飛び上がるとそこへ降りてきた。
「飛鳥――なんか食い物あるか?」
またガッツいて。と言いながらも、肩から提げた袋からいくらかの食べ物を取り出す。
「学校は、いいの?」
 ふん、と横を向いてその整った顔立ちの幼馴染は、拗ねた様子を前面に出して言った。
「あぁ、あんなもの。――退学にでも、停学にでも、すりゃいいんだ」
どうぞ、ご勝手に、とつぶやくように言い捨てると、飛鳥が持っていた缶コーヒーをひったくるとそのままごくごくと飲んでしまった。
「ん、もう…」またやったのね、聖樹。

 整備されているメガロポリスから一歩外へ出ると、まだこんな場所は珍しくない。
大気の状態も気候も。もとの地球の姿に戻ってはいたが、10年前の地軸の変動と異次元戦争はまた大きな傷跡をこの星に残していた。
 減ってしまった人口に、土地は十分にある。若者たちの溜まり場にも、不自由はない。
「もうじき、皆が来るわ――」
不良仲間――といってもいいのだろうか、そんな連中。
その連中にも聖樹の素性は知れてしまって――それはそうだ。顔を見れば誰もがわかるほどにあの偉大な父――古代進に似ているのだから。
しょっ中、テレビやニュースリリースに出る顔。
そして何よりも教科書にすら載っている。
「あぁ…それも鬱陶しいな」今日は、とその不良息子は言って、
「ぶっち切ろうぜ」とバイクの後ろに少女の手を引いた。
制服、まずいわよ。と言うと、ひょい、と上着をその山に突き出ていたパイプにかけてしまって。
ちょ……待ってという間もなく、バイクが動き出した。

 官製のものは――防衛軍の、たとえ訓練学校のだって――制服なんて。無くしたら懲罰じゃ、済まない。
そんなことは飛鳥だって関係者の娘として知っている。
「いいよ」

 もうすでにバイクは海の方へ向かって走り出していて、けして乗り心地が良いとはいえない手製のバイクに、飛鳥は髪を押さえ振り落とされないように少年にしがみついているのが精一杯だ。
彼が、何を荒れているのかは、知っている――。
だから。どうしようもない遣り切れなさも。
だけど、才能があるから故に――そこから完全にドロップアウトしてしまうこともできず。
その、求められているものの重さも――期待も十分すぎるほどだから。
 まだ10代半ばの少年の――生まれながらに背負ってしまったものの重さは。
彼と一つ違いの兄を見ていても、それと知れるから。
……兄が淡々とそれをこなすのを、この幼馴染はどうしてもそれができなくて――背負ったものの大きさも違うかもしれないから。

 しばらく走ったところで、バイクを止めて――別段どこへ行きたかったわけでもない。
 ゲーセンも面倒だし――学校でいつもやってるシミュレーションより簡単すぎてツマラナイ。
人とたむろって話すのも面倒だ。こうやって時間をツブしてる方が、なんぼかマシ。
「お前連れじゃ歓楽街ってわけにもいかねぇしな」
そういう聖樹はまだ15歳、そんなところへ出入りして良い歳でもない。
――が、よく行ってるらしいと飛鳥も知っている。
「邪魔だっての?」
飛鳥も大概に生意気だ――13歳になったばかり。
「じゃ、置いていけば」拗ねるように飛鳥はそう言って。
「…いや。今日はそういう気分じゃねぇから、いいんだ」

 「お前、本当におれたちのガッコなんか来んのかよ」
少年宇宙戦士訓練学校――使命感なんてないけど、なんとなく、そうかなって。
わずらわしい地球の大気を離れて――宇宙(そら)へ……せめて生まれ育った月へ帰りたい。自分の力で。
「まだ決めたわけじゃないよ」
「親はどうした」
「親と一緒にされたくないからさ――それにほかにできそうなこともないし」
入校するなら14歳――もう時間は無い。
「こんな時代にわざわざ危ねぇとこ行くなんて物好きな」
そういう聖樹は、望んで入った場所ではない。
 兄貴、元気? と飛鳥が聞いて。
「あぁ。あいつぁ真面目だからな。今日も俺のこと探してんじゃないか」
「あんまり迷惑かけないでよ――大事な時期なんだから」
あぁ、と答えてごろんと仰向けに転がった。

 ――聖樹より1年上の飛鳥の兄・大輔はそろそろ卒業後の進路の決まる時期にある。
あまり行き来の無い、しっくりいっていない兄とはいえ、父とそっくりで自慢であることは確か。
複雑な妹の心境が出る。エリート街道走ってくれれば、軍人も良いか、と。

 手を突然、引かれた。胸の上に引き寄せられて、キスされそうになって。
不意打ちだったために、避けられなくて。
なにすんのよっ、と反対側の手でひっぱたこうとするのを、軽く手で止められてしまう。
 やっぱお前、いいセンスしてるよ。この俺のスキをつけるんだからな。

 好きでもないくせに、止(や)めて。

 涙が溜まった目で睨みつけると、「そういう顔は、キレイだぜ」と言う。
15歳の科白ではない。
お前のことは、好きだよ、と悪びれずに言うから、そういう好きとは違うでしょう、キスする好きは、と言い返す。
堅いこと言うな、と抱き止められて本当に唇を奪われて。
が、少女の方は、それを跳ね除けるほどこの幼馴染を嫌っているわけではない――のが知れてしまっているのも悔しい。
強引な、聖樹――好きな女(ひと)は別にいるくせに。――誰だかは知らないけれど。そのくらいはわかる。
……14歳と16歳。孤独な者同士――。
あまりにも有名な親を持ち――行動も制限され――ある時間を過ぎると警報の信号が発せられるほどに――誘拐、拉致の危険を潜り抜けて育ってきた。
その、期待と羨望と――確かに受け継がれた能力に従うほどには従順ではなく、まだそこに何も見出せないでいる若者たちは――寄り添うようにして、互いの傷を労わり合っている。
 だからといって、それ以上堕ちる気も、本当に飛び出して生きていくほどに、家や、親たちを嫌っているわけでは、ない。いや聖樹と進親子は、私よりもっと根は深いのかもしれないけれど。

★  ★

 2人はそうして時間(とき)を過ごし……そうして、陽が暮れる頃、聖樹は言った。
「お前、もう帰れ」
急に、冷たいようでなく。当然、そうだとでもいうように。
「……送って、、、くれないの?」
首を微かに振る。
「セイジュ!」
飛びつこうとしたのをするりと交わされ、
「暗くならないうちに、帰れ」「そんなっ!」
 そんな時の彼は何を考えているかわからない。
テトラポッドの上にひょいと飛び乗り、追いかけようとした飛鳥が回りこむと…彼の姿は消えていた。
バイクだけ残して……飛鳥はそれにまたがり、家路に向かう。
まかれた、、、その悔しさより、見捨てられた悲しさが涙になって頬を伝った。

 入っていけない--それが悲しい。
 飛鳥は、きれいとはいえない砂浜を、メガロポリスに向かって走った。

[続く]
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