FC2ブログ

スポンサー広告

スポンサーサイト

 ←龍の棲む18 【回天-開戦前夜】 →龍の棲む20 【回天-開戦前夜】
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。



もくじ  3kaku_s_L.png ♪ 情報・連絡
もくじ  3kaku_s_L.png 【はじめに】
もくじ  3kaku_s_L.png KS&MY百題_新月版
もくじ  3kaku_s_L.png G2005-70 Timeout
もくじ  3kaku_s_L.png G2006:AD2200年代
もくじ  3kaku_s_L.png Yoko Sasa短編
もくじ  3kaku_s_L.png 短編:相原祐子
もくじ  3kaku_s_L.png パラレルA
もくじ  3kaku_s_L.png Original 新月world
もくじ  3kaku_s_L.png ◇ヤマト2199
もくじ  3kaku_s_L.png 未分類
  • TB(-)|
  • CO(-) 
  • Edit

bu2009-08 龍の棲む

龍の棲む19 【回天-開戦前夜】

 ←龍の棲む18 【回天-開戦前夜】 →龍の棲む20 【回天-開戦前夜】
17 = 過去
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

= 17 =

 「やっぱりそうだったか――」
パネルから目を上げた柴田がそう言って、「艦長」と古代を見た。
うむ、とうなずく古代が目を通し、近藤を呼ぶ。
 艦橋には現在、地球側の人間とリーダーらしき艦長しかいない。
その男は椅子に拘束され電子錠をかけられてあった。

 「お前たち、何故……」
 そのつぶやきを耳にすると古代は、パネルから離れて艦長席横に拘束されている男に近づいた。
「名前は」
かがみこむようにして見る古代に
「答えるとでも?」と見返す男。
じっと見返す古代は頷いた。「あぁ……思うね」
「莫迦に、するな」
 ぐい、と古代は顎に手をかけその男の顔をまっすぐ見た。
「“ミトプロートス”……」男の表情が変わる。
「な、何故その名を……」
「貴方の元の艦ですね、ロデム艦長――いや、元艦長、というべきか」
彼はぐっと詰まると唇をわなわなと震わせ、目を見開いた。
「――ヤマトの古代……お前は、超能力でも使うのか」
「ふっ、まさか」古代は微かに自嘲気味に笑う。「資料を見ただけですよ。
そもそも、最初から私は予測していた――いったいどうして、とね」

 古代の言葉には若干の“はったり”がある。
 実際に古代に与えられていた情報は多くはなく、いくつかの可能性として示唆されていたに過ぎない。
ミトプロートスの事故と“星の石事件”(テロリズムによる民間人の犠牲と軍艦の大事故)は辺境で起こったため一般には知られていなかったが、軍の一部では重要な事件で、それ以降、死亡したり行方不明になった者の中にはある種の志向を持つ者が多かったといわれている。
「まさか、貴方が“星の石(Star Stone)”の一員とは思いませんでしたが――亡くなられたとばかり聞かされていましたからね、ロデム元艦長」
「――そのような名は、忘れた」
一気に肩を落として彼は言う。
 「――それで、どうしようというのかね」
複雑な背景はどうでもよい。古代の任務は、ただひとつだった。
「――開戦を、阻止する」
腕を後ろに組み、まっすぐに瞳を射抜いて古代進は言った。
一瞬、それに射抜かれたようにみえたロデムは、顔をそむけると、今度はくっくく、と笑い始めた。
「私たちだけを捕まえても仕方ない、とは思わんのかな? 古代――この、地球人の敵(かたき)に魂を売った、売国奴」
口調が変わり、周りの部下たちの方がいきり立った。
 「止せ!」古代が静止の手を上げる――当然。戦いはすでに始まっており、古代とロデムが会話を続けている間も、日向の指揮で、この艦は指揮艦としての動きを続けていた。
        ★
 近藤が艦橋へ滑り込んできた。
「中、まだうようよしてます。皆、気づき始めたらやっかいです」
わかっている、と古代は頷いて、近藤に示唆し、彼は頷いた。

 「司令――この先、どうしますか? イサスやアリオスと、ぶち当たります」
困惑したような柴田の声がし、日向はそれでも、よくやっていた。
 「だましながらいけ……ぎりぎりまで、この艦は、敵方の艦だ」
振り返りもせず古代は無茶な要求を部下たちにする。
「――息子さん……守さんが可哀相じゃないですか。早く、ご連絡された方が」
「艦隊も混乱します――被害が、増えますよっ」これは柴田。
それには答えず、古代は近藤に向いた。
 「どうだ? 行けそうか?」
黙ってうす暗がりの中で、パネルに向かってあれこれいじったり立ち働いたり真剣に動く彼は、すでにボイラー室でひと作業して戻ったあと、先ほどから他の者と組せずに何かを進めているのだ。
「――もう、少し……」
「どのくらいだ」古代が問う。
「あと、5分……いや、3分」
3分だな。
そう言うと、古代は声にニヤりとした色を含ませて日向に命じた。
 「あと3分。保て――そのあと、反転・急上昇するぞ。……柴田っ」
「は、はいっ」
操縦、準備しとけよ、と言い、また古代はロデムに向き直った。

 「いかがですか? 自分の艦が人の手中に納まる気分は――」
古代の声には皮肉がにじんでいたかもしれない。
彼は何度かそういう想いをし、潜り抜けてきた。
「自分の艦? ふ、」ロデムがはき捨てるように笑った。古代の表情は動かなかった。

= 17 = 後半 に続く↓

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
          ☆
 「司令っ! 古代さん、CTがっ!」
「大丈夫だ――古河ならこの艦を避けてくれる」
真正面からぶつかってくるかと思い、
「わぁっ!」と叫び声を上げた柴田と日向だが、ひゅん、とそれらは艦橋を舐めて艦の底へ潜った。
 「ひぃぃ、心臓に悪いよ」
「さっすがだなぁ、あの人たち」
 その間もロデムは古代を見ながらにやにや笑っているだけだった。
 長年の反体制暮らしで人も変わってしまったのか。ロデムといえば高潔な艦長として知られた男だったが、今の彼にはその見る影もない。
――彼は覚えていないだろうが、古代は若い頃、遠くから見知ったことがあったのだ。
それを少し悲しく思った。
 だが同情するほど余裕もなく、また共感もしなかった。
 売国奴――地球を最も苦境に落としいれ多くの人の命を奪った(ガルマン=)ガミラスと提携し、現在のオリオン腕の平和を守って貰っている地球。その盟約の要にいる古代進。
 だがな。
 古代は胸の裡で短くつぶやいた。
――われわれ“も”、ガミラス本星を滅ぼしたのだ。
そうして、地球が生き残るために幾つの星を死に追いやっただろう。
            ☆
 「司令っ! OKです」
3分が少し過ぎ、近藤が喜色の声を上げた。
「ようし、よくやったっ」
同時に、ごぉん、ごぉんとうなるような音がし、艦橋の周りに遮蔽が降り、また周辺の明かりの色が変わった。 次々とコントロールパネルが反応し、防壁が降りていく。
 「な、なにが……」
ロデムの顔色が変わり、逆光の古代の表情はわからない。

 艦内を艦橋からの集中コントロールで制御していた。
直接、彼らが対峙した作業要員や戦闘員、亜人は拘束して手近な部屋に放り込み、こっそりと艦橋へ潜り込んだのだ。
素早い潜入だった。
まだ“そっち”方のフリをしたのは、艦内を騙すため――艦内からの問い合わせには、くみ上げたロデムの合成音声で柴田が対応しつつ、外にもそう気づかせない間、近藤がコントロール制御を少しずつ、しかも素早く切り替えていったのである。
 現在、艦橋は完全に要塞化し、艦のコントロールは一手に此処に握られていた。
 『どうした! 何があったんだ!!』
『制御不能! 艦は!?』
あちこちからノイズまじりの音声が入り、ばらばらと外に人の気配もしたが、彼らは動じなかった。
いずれにせよ、亜人たちが体温を保てる最低の室温に固定されているため、地球人以外は動けるものではない。
死にはしないが。
 「何をした? どうして、お前たちは……」
そんなことができる? と、ロデムが初めて真剣な顔で古代を見上げた。

               ☆
 古代がこの艦を見たときに、この作戦を思いついたにはワケがある。
 辺境警備から独立艦ヤマト、太陽系外周艦隊。――長距離航行艦や戦艦を渡り歩き、若い頃から艦長も勤めてきた。その古代進である。
 この艦は、防衛軍が廃艦にし、その後行方のわからなかった戦艦――おそらく[みらい]。
船名は削られていたが、フォルムを見れば艦の名やタイプなどわかる。
古代が乗艦していたことのある[ひかり]と双子艦で、システムも同じ。
どこに何があるか熟知しているといってもよく、それは格納庫からボイラー室へあがる間に確信となった。
 だからこその強行突破でもあったのだ。

 「貴方はこれ以上、話さないだろう――」
古代はそう言った。「だが、貴方を連れていけばほぼそれで終わる。ここまでの情報でも十分だからね――だから、死のうと思っても無駄ですよ。すでに私は、理解した」
これも古代のハッタリではあるが、自殺を留める力にはなるかもしれなかった。
 「日向、代われ」
古代は指揮を自分が引き継ぐ前に、戦闘班長に指示を出す。
「絶対に、死なせるな。方法は、わかるな」
「はいっ」
「拘束しておけ。見張りをつける余裕はないからな――アクエリアスへ戻るまで、近藤に監視、頼めるか?」
「はい、了解」
結局、手が足りないから艦橋にそのまま置いておくことにし、薬を打って眠らせた。
これで5時間は目覚めない――その間に、戦闘を終わらせて帰艦すればよいのだった。
 「よし、行くぞ――」
背を向けて、戦闘指揮席に座る古代を見て、
(艦長――少し嬉しそうなんですけどねぇ…)
少し呆れた日向である。
ふと横を見ると、通信パネルに張り付いていた柴田がこっちを見て、同じことを考えていることがわかった。
元戦艦[みらい]は――だろう、きっと――古代進の指揮の下、防衛軍の艦隊に向かっていった。
……戦闘は混乱に突入するのか!? まさか。
 古代は「急上昇する。全員、回転に備えろ」
 ぐい、と(片手で)操縦桿を引き、その艦はスピードを上げた。

= 18 = へ続く
スポンサーサイト

もくじ  3kaku_s_L.png ♪ 情報・連絡
もくじ  3kaku_s_L.png 【はじめに】
もくじ  3kaku_s_L.png KS&MY百題_新月版
もくじ  3kaku_s_L.png G2005-70 Timeout
もくじ  3kaku_s_L.png G2006:AD2200年代
もくじ  3kaku_s_L.png Yoko Sasa短編
もくじ  3kaku_s_L.png 短編:相原祐子
もくじ  3kaku_s_L.png パラレルA
もくじ  3kaku_s_L.png Original 新月world
もくじ  3kaku_s_L.png ◇ヤマト2199
もくじ  3kaku_s_L.png 未分類

~ Comment ~

管理者のみ表示。 | 非公開コメン卜投稿可能です。

~ Trackback ~

卜ラックバックURL


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

【龍の棲む18 【回天-開戦前夜】】へ  【龍の棲む20 【回天-開戦前夜】】へ
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。